近年はエコキュートでお湯を沸かす家庭が多くなりました。

我が家では石油ボイラーですが、最近の新築住宅を見てみるとほとんどがエコキュートではないでしょうか。

エコキュート: EcoCute)とは、ヒートポンプ技術を利用し空気で湯を沸かすことができる電気給湯機のうち、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素を使用している機種の商品名である。

出典:ウィキペディア

私は、給湯はできるだけ太陽熱を使うべきととの立場ですが、電気で沸かす利便性を否定するものではありません。

しかし、電気でお湯を沸かすにはそう簡単なことではないことも理解しておかなければなりません。

便利だからと言ってたくさんの電気を使うことは、料金の問題もありますが、原発の増設や再稼働などの問題に発展します。

そんなことよりも、個人個人はできるだけ安い経費で快適な暮らしができればいいわけです。

エコキュートは空気を圧縮する際に発生する熱を利用してお湯を沸かすわけですが、この方式がいくら効率良くても、空気の冷たい寒冷地では温度が上がりにくいのが欠点です。

寒冷地仕様もありますが、あまり良い評判は聞きません。

今回は、寒冷地でも超高効率でエコキュートを使える方法を考えてみました。

だだし実現はかなり難しいので、ご参考程度ということで。

エコキュートにソーラーエアーヒーターを組み合わせる

さて、太陽熱温水器は北海道や東北などの寒冷地での使用は凍結の問題があり、あまり普及はしてきませんでした。

分離分割型の太陽熱温水器なら、不凍液を使うのと貯湯タンクを屋内にすることで使えますが、このシステムはかなり高額となります。

また、採熱器以外の配管が凍結してしまうことも多いので、冬期間の管理は非常に難しいと言えます。

そこで今回ご紹介するのは、エコキュートにソーラーエアーヒーターを接続する方法です。

寒冷地でエコキュートの効率が下がるのは、氷点下20℃のような冷たい空気を圧縮しなければならないためです。

であれば、空気が温かくすればいいわけです。

空気を温めるなら、やはりソーラーエアーヒーターが役に立ちます。

この製品は、太陽熱を蓄熱する際に水を使いませんので凍結の心配が全くなく、しかも仕組みはいたってシンプルです。

真空管の中にPCM(相変化材料)と呼ばれる蓄熱棒があり、これに太陽熱を蓄え、風を送ることによって温風を発生させます。

以下が、熱の吸収と発熱のイメージ図です。

もう少し詳しく説明しますと、真空管内の蓄熱棒が太陽熱によって熱くなる(90℃以上で相変)と、内部のPCM(個体)が液状化することで蓄熱されます。

この熱を取り出すには、電動ファンで外気を送風します。

60℃以下になると発熱し、温風となってでてきます。

この相変する状態はなかなか理解しがたいのですが、PCMは蓄熱と放熱を繰り返すことができるシステムとなっています。

近いものでは保冷剤があり、やはり熱が加わると液状化(柔らかく)します。

これを応用したのがソーラーエアーヒーターですが、やはり分かりにくいかも知れません。

このように、ソーラーエアーヒーターは熱発生器ですから、暖房など温風で使うのが一般的ですが、当初はお湯も作れるシステムになっていました。

しかし、専用タンクが廃版になってしまいできなくなってしまいました。

内部の構造は、二重タンクになっていて中に熱風を循環させるようになっています。

このシステムなら北海道の旭川とかの極寒冷地でも使えたはずでしたが、皆さんから注文を受けるころには廃版で、私も非常にガッカリしました。

仕方がないので、次善の策としてエコキュートにソーラーエアーヒーターを組み合わせられないかと考えたわけです。

特に難しいことではなさそうですし、この方法はすでに中国では実用化しています。

日本の方が技術力があるのですから、どこかやる気のある会社が現れればいいんですが今のところありません。

中国の事例

では、中国の事例をご紹介します。

中国での暖房は石炭が主なエネルギーでしたが、環境問題が深刻なため石炭の使用はすでに禁じられていると聞いています。

しかしその代替としてのエネルギー(電気やガス・灯油など)は、経済的な理由で十分に使える状況にはありません。

そこで出てきたのが、以下のようなシステムです。

上段の真ん中にあるのがヒートポンプで、そこにソーラーエアーヒーターが接続されているのが分かると思います。

この方法であれば、冷たい空気を先に温めてからヒートポンプで圧縮するので非常に高い熱効率になるはずです。

この施設では、4台のソーラーエアーヒーターと2台のヒートポンプでスチーム暖房をしているようです。

なお、このヒートポンプ(太空1号)は、以下のような構造になっています。

詳しいことは分かりませんが、この図を見る限り、左側で2段階に空気を圧縮、右側でさらに圧縮して温水を作り出しているようです。

詳しくは以下の記事をお読みください。

エコキュートにソーラーエアーヒーターを接続する

上記のヒートポンプはソーラーエアーヒーター専用に開発されたものですが、早い話が空気の温度を上げることに他なりません。

それなら、単純にエコキュートに接続すればいいのでは?

以下の図はエコキュートのシステム図ですが、ヒートポンプユニットにソーラーエアーヒーターを何らかの形で繋げばいいだけです。

エコキュート本体には何の加工も必要ありません。

日本の住宅は狭いので設置場所が限られますので、できれば真空管が20本くらいのコンパクトなものがあると良いかも知れません。

日当たりの良い壁にでも設置して、ヒートポンプユニットまで配管すれば万全でしょう。

まとめ

寒冷地での太陽熱利用はなかなか難しいものです。

そのため、寒い地方に住む人にとって冬はお金がかかって大変な時期です。

少し設備費がかかっても、安心して太陽熱利用ができるものが無いか。

そんなご相談も多いのです。

もちろん、ソーラーエアーヒーターを使えば何とかなるのですが、これは中国製なので輸入しなければなりません。

私の希望としては、できれば国産でやれないかと思っています。

真空管とPCMは輸入しても、フレームは日本で作った方が良いはずです。

また、ヒートポンプは日本製の方が信頼性の点でまだまだ上でしょう。

コロナ前には、長野県のメーカーでやってくれそうだったのですが・・・

いずれにせよ、世界情勢が混沌としているので、自前のエネルギーを何とかする機運が盛り上がらないとダメなようです。