今回は、ソーラーエアーヒーターの温度管理について考えたいと思います。

メーカーでは、温度センサーを推奨していますが、太陽はいつも出ているわけではありませんから、温度だけの設定だと常時電動ファンが動いてしまうこともあります。

そうなると、PCM(蓄熱材)に熱が移行(相変)しないことも考えられますから、そうならないような温度設定を検討しておくことが必要となります。

私が考えているのは、温度センサーによる制御とタイマーでのインターバル運転の2通りです。

いずれもメリットとデメリットがありますので、使用に当たって戸惑わないよう検討しておきたいと思います。

太陽熱は蓄熱して使うもの

まず初めに、忘れていけないのはソーラーエアーヒーターは蓄熱してから使うものと言うことです。

太陽熱温水器と同じく、朝から温度を高めて夕方から使うのが基本です。

ソーラーエアーヒーターは、水をPCM(相変化材料)に置き換えたものです。

この変更によって、どんな寒い場所でも凍らずに太陽熱利用が可能になりました。

暖房の一般的形態

それから、太陽熱は燃料と違って火を点ければいつでも使えるものではないことを理解しておくことが大切です。

大丈夫でしょうか。

【太陽熱は保存して利用】燃料を燃やすこととの違いを理解しておこう

そこを勘違いししまうと思ったような結果が出ず、遠回りすることになってしまいます。

太陽熱は最初は小さい熱ですが、これが時間をかけて蓄積されていくと大きな熱量となり、結果的に燃焼で得たものに劣らないものになっていきます。

と言うことで、ソーラーエアーヒーターを暖房に使う場合、当然ですが朝からすぐには使えません。

対処としては、ストーブとかエアコンとか別の暖房機器で暖を取る必要があります。

なんだ面倒くさいな、と思われたかも知れませんが、太陽熱利用とはそういうものなのです。

しかし、面倒な分だけお金で返ってくるわけです。

ソーラーエアーヒーターの性能曲線

それでは、ソーラーエアーヒーターの性能を見てみましょう。

このグラフは、真空管60本のパネルの試験結果ですが、最高温度や採熱の傾向は30本であっても同じとなります。

ソーラーエアーヒーターの出風温度

晴天の日なら、朝の8時半過ぎには40℃程度の温風が出始め、午後の1時半ごろに160℃、その後17時半ごろに40℃以下になっていきます。

これだけ見ると、一日中ファンを回していても大丈夫なように見えますがそうではありません。

このグラフの計測時間を見ると、概ね20分に一度温度を測っています。

メーカーにも確認しましたが、ファンはその間止めているとのことです。

つまり、ずっとファンを回してしまうと太陽熱を蓄えることができなくなるのを回避しているわけです。

次に暖房能力を見てみます。

ソーラーエアーヒーターの暖房能力

このグラフは真空管が60本なので、30本の場合には1/2と考えてください。

最大で6KWを超えており、4KW以上の時間帯が10時から午後4時くらいまでとなっています。

なお、採熱は午後の3時ごろにはほぼゼロになりますから、以降の出力はPCMに蓄熱されたものとなります。

温度センサーでコントロールする方法

それでは温度管理の方法について検討します。

前にも述べましたが、温度センサーでやるのが一番簡単な方法です。

写真のような装置を買って、オンとオフの温度を設定しておけば、あとは自動的にやってくれます。

ただし問題点もあります。

1.朝と夜は電源を切る必要がある

当然ですが朝は熱がまだ貯まっていないので、ファンを回しても冷風しか出てきません。(前日の蓄熱が残っていれば温風が出ます)

夜間についても、熱を使い切ってしまうと途中から冷風になってしまいます。

この場合はタイマーと温度センサーを組み合わせれば解決します。

2.蓄熱を阻害しないか

温度センサーの場合にはこれが一番問題です。

例えば、寒い晴天の日に温度設定を上げて連続運転した場合、温風は確かに出てきます。

しかし、真空管内の温度が下がり、PCMに蓄熱される熱量が大幅に減る可能性があります。

よほどシステムに余裕があるなら別ですが、日中の使用(採熱)をほどほどにしておかないと、結果的に蓄熱量が減ってしまったのではダメなわけです。

一概には言えませんが、30分以上連続して電動ファンが動いてしまう場合には温度設定に問題があると思います。

タイマーを使ってインターバル運転

もう一つのやり方は、リレータイマーを使って、一定間隔に採熱と放熱を繰り返す方法です。

ちょっとめんどくさそうですが、リレータイマーは値段も安いのでお薦めです。

例えば、朝の9時から20分に一度、5分の運転を夕方6時くらいまで繰り返し運転するように設定します。

このやり方は蓄熱優先なので、暖房としては不足する時がありますが、その時はストーブとかエアコンで温度調整をします。

大きなメリットしては、最大限の蓄熱と利用ができることです。

また、電動ファンのオンオフを気にしないでいられることも精神衛生上良いと思います。やってみると分かりますが、これが案外気になるものなんですね。

まとめ

私のやっている太陽熱暖房はインターバル運転となっています。

8時10分に開始し、以後20分間隔で、5分間循環ポンプが午後の3時過ぎまで稼働します。

そのため、朝は暖かくないのでストーブで暖をとりますが、動き始めれば部屋がどんどん暖かくなるので、天気の良い日には9時過ぎには消してしまいます。

もちろん、曇りや雨、雪の日で採熱が期待できない日は循環ポンプの電源を切ります。(電源は太陽光発電)

太陽熱利用は条件の良い日ばかりではないので、できるだけスイッチを入れたりつけたりする動作が少ない方が良いと私は思います。

なので、ソーラーエアーヒーターの温度調整は、温度センサーよりもインターバル運転の方をお薦めしておきます。

ま、うまく行けばどちらでも良いですが・・・