ソーラーエアーヒーターの採熱データについて質問がありましたのでお答えしておきます。

(質問内容)

ソーラーエアーヒーター(PCM太陽熱温水器採熱器)の標準得熱量は30MJ(メガジュール)とのことですが、単位だけでなく、実際にどのくらいの熱量なのか分かりません。

(回答)

確かにMJ(メガジュール)などと言われてもピンと来ないと思います。

以下の表は、真空管の数が30本のパネルの諸元となっています。(右赤枠)

 

総集熱能力 ≧33MJ

標準得熱量 ≧30MJ

 

言葉で説明すると、総集熱能力は33MJで標準得熱量は30MJということになります。

—————————————–

参考までに、熱の発生原理を以下に示します。

標準のパネルに使う真空管は30本で、中にPCM(相変化材料)の蓄熱棒が入ります。

発熱の仕組みは、真空管内でPCMが太陽光を受けると熱くなり、熱ではない形で蓄熱します。そこに電動ファンを使って冷風を送るとPCMが発熱して熱風が発生します。(図参照)

 

ソーラーエアーヒーター採熱パネル

熱量の計算

パネル1枚当たりの採熱能力については、なじみのあるカロリー(Cal)で計算します。

採熱パネルの標準得熱量 30MJ、カロリー(Cal)に変換 すると

30MJ×0.24(換算係数)=7.2Mcal(7,200,000Cal)

※M(メガの単位は百万)

 

温風の能力では分かりにくいので、水をどれだけ温められるかを計算してみます。

1Calは1ccの水を1℃上げる能力がありますから、1リットルでは7,200℃、100リットルで72℃上昇します。

 

つまり、200リットルなら35℃となります。

 

水温が10℃なら45℃、20℃なら55℃。 一般的な太陽熱温水器では水温に対し、30~40℃程度になるよう設計されているようですから計算上も概ね一致します。

 

もちろんロスもありますが・・・

 

一般的な太陽熱温水器は、水に熱を移動させて温度を高めますが、ソーラーエアーヒーターの場合はPCMに保存されます。

計算上は、標準得熱量が30MJですので、日没後にこの熱量が使えるわけです。

正確ではありませんが、実感として200リットルの太陽熱温水器と同等の能力と考えて差し支えないと思います。

一般的な太陽熱温水器との違い

ここからは少し飛躍した話になりますが、ソーラーエアーヒーターは得熱量で性能表示しているので日中に使う量が加味されていません。

参考にどれくらいの太陽エネルギーが採熱パネルに届いているか計算してみました。

地上に降り注ぐ太陽エネルギーは、1㎡当たり1Kw(1KJ)なので、パネル1枚(4㎡)の面積では以下のようになります。

※日照時間の計算は、9時から3時の6時間とします。

4.0㎡×60秒×60分×6時間=86,400Kw
結果、86.4MJのエネルギーが届いていることになります。

 

つまり、全体に占める得熱(蓄熱)の「割合は1/3くらいですから、日中少しくらい使ってもさほど影響ないと思われます。

夜間しか使わないのであればメリットはあまりないですが、日中も使うならより経済的です。

また、PCMの放熱はメーカーから公表されてはいませんが、過集熱を起こさないことから考えると、かなりゆっくりと減衰していくものと考えられます。

 

【究極の太陽熱利用】どんな寒冷地でも凍らずに使えるソーラーエアーヒーターとは