自然エネルギーの利用は、太陽光発電よりも太陽熱の方が簡単で安価であることは常々言っていることです。

これは、熱を熱として使うなら特別な装置はいらないからです。

でも、太陽熱での発電はあまり知られていません。

火力でも原子力発電でもお湯を沸かし、タービンを回して発電しているので、温度さえ上がれば十分に可能なわけです。

今回、南米のチリに太陽熱発電所が新しく稼働したとニュースがありましたのでご紹介します。

南米チリに太陽熱発電所が稼働

南米チリのアタカマ砂漠に作られた太陽熱発電所は、敷地面積700ヘクタールの巨大な施設で、最大110メガワットの出力を生成できるとしています。また、溶融塩を使用し24時間稼働できることが最大の特徴のようです。

チリに南米初の太陽熱発電所

【サンティアゴAFP=時事】チリのアタカマ砂漠で8日、南米初の太陽熱発電所の開業式が行われた。2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に弾みをつけると期待される。(写真はチリ・アントファガスタに建設された南米初の太陽熱発電所。セロ・ドミナドール提供)
 敷地面積700ヘクタールを超える複合施設「セロ・ドミナドール」に造られたタワーの高さは250メートルで、頂上に光を集めるレシーバーが置かれている。周りには1万600枚の鏡が設置されている。
 レシーバー内の溶融塩が熱を吸収し、その熱で蒸気タービンを回転させ、最大110メガワットの電力を生み出す。
 隣接する太陽光発電所と合わせ、セロ・ドミナドールでは、210メガワットの再生可能エネルギーを生成できる。
 溶融塩は最大17.5時間にわたりエネルギーを蓄えることができ、直射日光が当たらなくても1日24時間稼働できることがこの太陽熱発電所の特徴。
 開所式に出席したチリのセバスティアン・ピニェラ大統領は、「年間60万トン以上の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる。これは自動車30万台の1年間の排出量に相当する」と述べた。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕

これだけだと分かりにくいので、YOUTUBEを探したらに早速アップされている方がおられました。

目新しいのは、頂上に光を集めるレシーバー。

周辺に置いた鏡が太陽光を反射し、ここに集中させて温度を上げています。

動画から

発電の方式は、集めた熱でお湯を沸かし、タービンを回して発電します。

これは火力や原子力発電でも同じです。

まぁ、簡単に言ってしまえばソーラークッカーの巨大なものです。

大きく違うのは「溶融塩」を使って夜間でも発電できる点です。

夜間でも発電できるとは不思議な感じもしますが、潜熱材料の溶融塩(ようゆうえん)を使えば熱を蓄えておくことができます。

つまり、日照のない時間帯はその熱で発電が可能です。

24時間発電できる

さて、溶融塩なんて初めて聞く言葉ではないでしょうか。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
溶融したフリーベ (LiF-BeF2)
溶融塩(ようゆうえん、英: molten salt)とは、食塩などの陽イオンと陰イオンからなる塩で溶融状態にあるものをいう。文部省学術用語集化学編では融解塩[ゆうかいえん、英: fused salt]を溶融塩と同意とする。原子力分野では「溶」を「熔」の字に置き換えた「熔融塩」を用いる場合もある。また、金属製錬分野では伝統的にフラックスと呼ぶ。溶融塩の中で100-150°C以下の温度で液体状態にあるものは常温溶融塩またはイオン液体と呼ぶ。

性質
溶融塩中のイオンは、水溶液中のイオンとは異なりイオンの周りに中性の水分子が配位しないため、陽イオンと陰イオン間の距離が近く、イオン間のクーロン力が強い。このため、水溶液中のイオンとは異なる性質を示すことが多い[1]。これにより次のような特徴が生じる。

イオン導電率が高い
電位窓が広い
密度、粘性率、表面張力が水に近い
高温で低蒸気圧
他の塩類の溶解度が大、塩類の組み合わせで溶融温度や溶媒特性の調節可能
有機溶媒と混和しない
化学的に安定、不燃または難燃性大
高放射線耐性
固体から液体への融解熱が大

詳しいことは専門家ではないので分かりませんが、溶融塩の性質を見る限りソーラーエアーヒーターに使われている相変化材料(PCM)に近いもののようです。

下の図をご覧ください。

PCMはこの図のように、液体から固体、固体から液体へと変化する過程で熱を吸収・放熱を繰り返すわけです。

溶融塩も設定温度が違うだけで同じと思われます。

まとめ

気になったのはあまりにも巨大であること。

いくら技術が素晴らしくても、このようなものはおいそれとは作れません。

たとえ作れたとしても環境への影響も大きいのではないでしょうか。

今回は砂漠に作られているわけですが、砂漠だって生き物はいるし、地球環境のバランスで砂漠になっているわけです。

そう考えると私はあまり感心しません。

期待としては、最初は大規模であっても技術革新が進んで小さくなること。

パソコンだって、今では机に余裕で載りますが最初はビルのように大きかったわけですからね。

でも、発電に関しては現在主流の発電パネルが良いと思います。

技術的にもかなり確立されていますし、安価になったのも良い点です。

また、温度差発電というのもあります。

以前はこれに期待をしていたのですが、なかなか出てきませんね。

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いずれにしても、いつまでも危険で使用済み核燃料の処理もできない原子力発電になどにかまけていると世界から取り残される時代となったようです。

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