今回は、ソーラーエアーヒーターの効果的な暖房について考えたいと思います。
方法は、温度センサーによる制御及びタイマーでのインターバル運転の2通りです。
いずれもメリットとデメリットがあります。
(目次)
1 太陽熱は蓄熱して使うもの
2 ソーラーエアーヒーターの性能
3 温度センサーでコントロールする方法
4 リレータイマーを使ってインターバル運転
5 まとめ
1 太陽熱は蓄熱して使うもの
まず初めに、忘れていけないのはソーラーエアーヒーターは蓄熱してから使うものです。
太陽熱を利用するわけですから、太陽が出たからと言ってすぐに温かい温風が出てくるわけではありません。
温風を出すためには、まず真空管内にあるPCM(相変化材料)に熱を取り込む必要があります。
ここでの相変化材料とは、熱を吸収すると液状化し、放熱すると個体になるものです。
具体的には、真空管内にあるPCMが90℃になると蓄熱(液状化)し、60℃になると放熱(固化)するように設計されているようです。
もっと簡単に言うと、ソーラーエアーヒーターは、太陽熱温水器の水をPCM(相変化材料)に置き換えたと考えれば分かりやすいと思います。
この製品の魅力は、どんな寒い場所でも凍らずに太陽熱利用が可能であることです。
しかしながら、前述したように朝からはすぐに使えるものではありません。
大きなメリットはあっても、万能ではないことを理解したうえで最適な使い方を考えるべきです。
2 ソーラーエアーヒーターの性能
それでは、ソーラーエアーヒーターの性能を見てみましょう。
この製品は、一般住宅用に省スペースで設置できるように考えられたもので、片側30本×2合計60本の真空管が使われているものです。
以下のグラフは、ファンを回したときの出風温度を計測したものです。
午前8時半から計測を開始、午後の6時18分での温度が記録されています。
測定 20分間隔
最高温度 晴天時160℃ 曇天時120℃
次に出力(KW)を見てみましょう。
晴天時の最大で6KWを超えており、4KW以上の時間帯が10時半ごろから午後4時ちかくとなっています。
これはメーカーのデータですので、どこまで信用するか。
私の実験では、最高温度は150℃以上になることを確認しているので間違いありません。
問題は、出力がこのようになるのかです。
単にファンを回しているだけではうまく行きません。
なぜなら、PCMは蓄熱と放熱を繰り返えさないといけないからです。
ちなみに、真空管60本で蓄熱できる熱量は60MJ(メガジュール)となります。
ソーラーエアーヒーターの場合、これをいかにうまく引き出して利用するかがカギになります。
3 温度センサーでコントロールする方法
それでは温度センサーで運転する方法について説明します。
写真のような装置を買って、オンとオフの温度を設定しておけば、あとは自動的にやってくれます。
この場合、
1.朝と夜は電源を切る必要がある
当然ですが朝は熱がまだ貯まっていないので、ファンを回しても冷風しか出てきません。(前日の蓄熱が残っていれば温風が出ます)
夜間についても、熱を使い切ってしまうと途中から冷風になってしまいます。
この場合は、タイマーと温度センサーを組み合わせるようにします。
2.蓄熱を阻害しないか
温度センサーの場合にはこれが一番問題です。
例えば、寒い晴天の日に温度設定を上げて連続運転した場合、温風は確かに出てきます。
しかし、真空管内の温度が下がり、PCMに蓄熱される熱量が大幅に減る可能性があります。
4 リレータイマーを使ってインターバル運転
もう一つのやり方は、リレータイマーを使って、一定間隔に採熱と放熱を繰り返す方法です。
ちょっとめんどくさそうですが、リレータイマーは値段も安いのでお薦めです。
例えば、朝の9時から20分間隔で5分の運転。
これを、夕方6時くらいまで繰り返し運転するように設定します。
このようにすれば、上記のグラフのような出力を得られるはずです。
また、電動ファンのオンオフを気にしないでいられることも精神衛生上良いと思います。
5 まとめ
私のやっている太陽熱暖房はインターバル運転となっています。
8時10分に開始し、以後20分間隔で、5分間循環ポンプが午後の3時過ぎまで稼働します。
そのため、朝は暖かくないのでストーブで暖をとりますが、動き始めれば部屋がどんどん暖かくなるので、天気の良い日には9時過ぎには消してしまいます。
もちろん、曇りや雨、雪の日で採熱が期待できない日は循環ポンプの電源を切ります。(電源は太陽光発電)
太陽熱利用は条件の良い日ばかりではないので、できるだけスイッチを入れたりつけたりする動作が少ない方が良いのは当然です。
なお、夜間にしか使わない場合は温度センサー方式か手動にします。