私は現役時代には農業土木という仕事をしていました。
大半は農地の整備でしたが、農業用の利水ダムの仕事も数年間しました。
農地の整備は、良くできれば地元農家に喜ばれたものの、ダムについてはどんなに努力しても評価もされませんでした。
なぜかと言うと、特に必要もないのに造ったダムだったからです。
ダム本体ができてから、水利権の確定や関連施設(パイプラインなど)が完了しておらず10年以上供用開始していませんでした。
実は、供用開始と言っても受益者がいない(名目上はいます)ので、誰にも文句を言われません。
だから10年以上も放置できるわけです。
詳細は省きますが、私は最後の問題処理と未完の工事を全て行いました。
問題なのは、水を貯めても使われないのに、維持管理に莫大なお金がかかることです。
そのお金は全てが行政負担。
今回は、長周新聞の巨大な風力発電の記事ですが、読んであの忌まわしい記憶がよみがえってきました。
風力発電ができた町の話 日本最大規模・三重県青山高原等の実例 三重県歯科医師・武田恵世氏の講演より
冒頭部分の一部を抜粋して転載します。
私が歯医者であるにもかかわらずなぜ風力発電に詳しくなったかというと、実は1999年に三重県の青山高原で日本初の風力発電所ができた。私はその頃環境問題にとりくんでいたため、「これはいいことだ。ぜひ増やさなければ」と思い、風力発電のための会社設立まで真剣に考えていた。だが、いろいろ考え調べた結果、「全然だめだ」ということがわかった。今日はそのことについて話したい。
2007年、当時風力事業への出資や会社設立まで考えていた私のところに、中部電力の子会社で青山高原一帯の風力発電建設をおこなう「シーテック」の電力部長たちが訪ねてきた。そのときに彼らは風力発電について「発電しなくてもいい。建設さえできればいい。補助金をもらえるから」といった。そして2011年の東日本大震災で福島原発事故が発生し、それをきっかけに各地で風力発電が増加。その頃から全国・世界で風力発電による被害が問題になってきた。
青山高原には最大時94基の風力発電が建てられ、現在も91基ある。これは国定公園内では全国一の規模で、当時の三重大学の清水幸丸教授は「世界的にも模範的な成功例だ」と評していた。だが、「模範的な成功例」とはいうものの、データは「企業秘密」ということで示されない。
※太字は筆者
(転載終了)
詳しくは記事を読んでいただきたいと思いますが、公共であれ民間であれ、このような巨大事業なぜ必要なのかを考えないといけません。
そもそも、日本は少子高齢化が世界で最も進んでいると言われています。
そんな国が、これから先も電気の消費量がうなぎ上りに増えていくはずがありません。
記事にもありますが、こんな巨大な風力発電所を作らなくても電気は十分に足りていて、原子力発電も全く不要です。
ダムに関して言えば、高度成長時代からどこにダムを作るかだけでなく、どこのゼネコンがやるのかまで決まっていたそうです。
もちろん必要なダムはあるでしょう。
ですが、政治的な圧力によって、必要もないのに屁理屈(効果が上がるような)つけて何十年かかってもやるようなことになるのです。
巨大な風力発電は栃木県の那須にもありますが、いつ見ても風車は回っていません。
国立公園の中に民間会社の風車なんて変だと思いませんか。
何の役にも立たないのに作る。
誰のために?
こんなことを許していては国土が荒廃するのは明らかです。
政治がまともでない国に未来はありません。