オール電化の家(エコキュートなど電気で給湯)で太陽熱温水器は使えるか、と言う質問をよくいただきます。
答えは、「イエス」です。
しかし、それには条件があって全ての太陽熱温水器が使えるわけではありません。
使えるのは、既存の水道管に接続しても問題のない製品となります。
更に言うと、昔からある屋根に載せて温水をお風呂などに落水させるタイプのもの(自然落水型)では使えません。
以下の図をご覧ください。
これは圧力型(加圧型)の太陽熱温水器の接続方法を示しています。
圧力型の太陽熱温水器は、水道圧に耐えられる構造になっているため、水道圧の範囲ならならどこでも置くことができます。
仕組みを簡単に説明します。
1.太陽熱温水器への給水は水道水からで、太陽熱で高められた温水もそのまま同じ給水管に戻ります。
2.ただし、給湯器に戻す手前でミキシング弁(MXB)により温度調整します。
3.給湯器が壊れないよう、高温のお湯を送らないようになっているわけです。
以上のように、太陽熱温水器とは冷たい水を暖かくするだけの装置なので、エコキュートでお湯を沸かしているとしても問題なく使えます。
図の左にある「石油ボイラー」をエコキュートに置き換えれば理解できるはずです。
また、太陽熱温水器の設置場所は屋根をイメージする方が多いのですが、それは自然落水型しか無かった時代のものです。
現在のものは、屋根でも地上でも使えるようになっていますので、古い概念は捨てていただきたいと思います。
太陽熱温水器の種類と用途
もう少し太陽熱温水器について解説します。
<自然落水型>
昔からある平板型の太陽熱温水器は、前述のとおりエコキュートには使えないのですが、真空管式太陽熱温水器であっても自然落水型は使えません。
このタイプは、真空管内に水をいれて暖める方式なので、水道に繋ぐと真空管が水圧に耐えられず破裂してしまいます。
採熱方式としては優れているのですが、便利に使うには今一つです。
水道圧のような高い水圧がないため、シャワーではもの足りないのでお風呂のみに使いたい場合に限るのではないでしょうか。
<圧力型(加圧型)>
近年は一番普及しているタイプです。
真空管採熱器と貯湯タンクが一体になっているタイプで、真空管と貯湯タンクが分離されているのが特徴で、貯湯タンクは水道圧に耐えられることから、水道圧の範囲内なら屋根でも庭でも設置できます。
タンク一体型なので採熱効率に優れており、施工も簡単です。
採熱はヒートパイプで熱を集め、貯湯タンクの水を温めます。
真空管内には水が入らないので、仮に割れても水道水が漏れ出すことはありません。
オール電化を考える
電気は便利で生活に欠かせないものですが、その電気はどうやって作られるのでしょうか。
水力、火力、風力、原子力、などですが、それらは莫大なお金を使って僻地に作るため延々と送電線で私たちのところに届くわけです。
近年では太陽光発電が大幅に増えていますが、それとてメガソーラーであり、発電してすぐに使えるものではありません。
昔から無駄遣いのことを「湯水のごとく」と言いますね。
電気の使われ方は、客観的に見て「無駄遣い」と言われても仕方がないと私は思います。
以下の図をご覧ください。
つまり、発電した40%しか使っておらず、60%は捨てているのが実態です。
本当に溜息しか出ません。
水力・風力は別にして、火力と原子力発電はお湯を沸かしてタービンを回し発電しています。
その電気を使い、エコキュートでお湯を沸かす?
なんかおかしくないですか。
お湯は電気でなくても沸かせますよね。
ガスでも灯油でも沸かせます。
電気の方が環境に優しい、本当ですか?
考えてみてください。
お湯なんて太陽熱で簡単に沸いてしまうんです。
もちろん安全で火事にもなりませんし、環境負荷はほとんどありません。
だから、私は少しくらいお金がかかっても太陽熱を利用しないといけない思うのです。
元が取れると取れないとかではないはずです。
太陽熱温水器があることで、電気だけでなく、化石燃料の大幅削減にもなります。
これって、環境だけでなく家計にも優しくないですか。
電気電気と大騒ぎをする前に、まずは太陽熱を工夫して使ってみませんか。