誠に遺憾ではありますが、「太陽熱温水器を使うと給湯器が壊れる」という神話と言うか都市伝説があります。
同じく、「水圧が下がってシャワーが弱くなる」などと本気で思っている方が、冗談ではなくまだまだ大勢いるわけです。
誰が吹聴したのかは知りませんが、出鱈目もいいところで事実ではありません。
有名な太陽熱温水器のメーカーが「強引な商法」との噂を広められ、それ以降太陽熱温水器の普及が止まってしまったのは疑いようもない事実ではあります。
この噂を広めたのは、大手のガス会社とは聞いていますが、事実かどうかは分かりません。
まあ、考えてみれば売り上げが大幅に落ちてしまうので考えられなくもありません。
もう20年以上の話なので、当時は自然落水型の太陽熱温水器しかなく、給湯器(ボイラー)には直接接続できなかったはずです。
屋根にある太陽熱温水器から熱いお湯をお風呂に降ろして使っていたわけで、追い炊きするくらいで壊れるなんて少し考えれば分かりそうなものです。
でも、デマなんてものはそんなものかもしれません。
怖いですね。
太陽熱温水器の接続しても給湯器は壊れません
では、現在の主流である「圧力型の太陽熱温水器」はどのようにするのか、以下の図で説明します。


接続は給水管に仕切弁を入れ、太陽熱温水器に水を向かわせ、温めたのち戻すだけという非常にシンプルなものです。
※水圧がかかっているので、お湯を使うと水が動きます。
問題は真空管式太陽熱温水器の採熱能力は非常に高いために、天気の良い日が数日続き、あまりお湯を使わなかった場合は沸騰してしまうこともあることです。
もちろん圧力逃がし弁がありますからタンクが壊れることはありませんが、確かにこの温度で給湯にに入るのは常識的に考えて問題はあるでしょう。
そのため、ミキシング弁で38℃前後に調整してから給湯機に送り出すことでこの問題は解決します。
調整の仕方は?と疑問に思われるかもしれませんが、これは全て水圧でできてしまいますので電気を使うことはありません。

左から太陽熱温水器からの温水、右から冷水が来ます。
中央のミキシング弁で温度調整されたお湯が給湯器(下)に行きます。
温度は38℃が標準で任意の温度設定は可能ですが、私も色々と温度設定を変えてみましたが、結局は38℃になってしまいました。経験則によるものかは分かりませんが、なかなか絶妙な温度と言わざるを得ません。
結論
と言うことで、太陽熱温水器で給湯器は壊れないことを証明しました。
また、シャワーの水圧が減るなどの心配をされる方もいますが、よほど変な配管や粗悪なミキシング弁などを使わない限りあり得ません。
それから、真空管式太陽熱温水器はあまり普及していないので性能を疑っている人も多いとは思いますが、それは杞憂です。
タンク一体型の圧力型なら電気も使わず、動くものは水(お湯)だけなので壊れるようなものはありません。
事故でもなければ、最低でも15年、メンテナンス次第では20年以上は持つのではないでしょうか。
太陽の恵みを受けて生活をしてみませんか。
コメント
はじめまして。
現在、太陽熱温水器を設置して既存の電気温水器に接続をしようと考えていたところこちらのサイトにたどり着き大変興味深く拝見させて頂きました。
夜間の沸きあげ電気代の削減が目的で、同時に昼間の割高の電気代は太陽光発電を設置してエネルギーの自給を目指しています。
太陽熱温水器を接続可能な事は理解したのですが、せっかく高温になったお湯をミキシングバルブで冷まして、再度電気温水器で高温に温め直すのがなんだかしっくりと来なくて。。
電気代の削減も思ったよりは出来ないのかなぁと想像します。
この際、電気温水器をガス給湯器に交換した方が良いのかもと考えたり。。
(関西電力に色々縛られるのも嫌なので)
そもそも太陽光発電で電気温水器を昼間に稼働させたほうがすっきりするのか
等々かなり頭が混乱してきました。
太陽熱温水器の原始的なシンプルさが凄く良いと思うのでなんとか利用してみたいのですが、まずは電気温水器に接続した場合の実際の電力の削減がどの程度なのかを教えて頂ければと思います。
長々と申し訳ありませんがどうぞ宜しくお願いします。
初めまして。エコキュートをお使いなのでしょうか。お尋ねの電力の削減ですが、初期の温度が太陽熱温水器によって温められるわけですから半分以下になる可能性はあります。(使い方や地域にもよります)夜間にお湯を沸かす電気代を心配されているようですが、経済性を考えるなら、ガス(石油)などの給湯器を使った方が良いと思います。なぜなら、使いたいときに使い大量だけで済むからです。電気温水器は常時温度を保っていますからムダな電気を使っているわけです。特に冬場は多くの電力を使います。おっしゃる通り、太陽熱温水器を使うなら電気温水器は不要です。もし電気温水器を10年以上使っているなら廃棄してはどうでしょうか。なお、太陽光発電でお湯を沸かすのは止めた方や良いでしょう。理由は、水を温めるにはかなりの熱量が必要だからです。電気は他に使いたいものがあるはずです。太陽エネルギーの変換効率は、太陽熱温水器の場合は50~60%、太陽電池の変換効率(10~15%)で比較になりません。置いておくだけでお湯が沸く装置をなぜ使わないのか、日本人の感覚が私には分かりません。長く使えば使うほど恩恵があるはずなのに・・・シンプルに考えれば答えは見えてくると思います。