魔法瓶はなぜお湯が冷めにくいのか。
それは真空(vacuum)が熱を通さないため、熱が外部に放出されるのを防いでいるからです。
冬の寒い時期は、温かいお湯を特に必要とする季節ですが、水道水の温度は10℃前後でとても冷たく、お湯を沸かすのはかなりのエネルギーが必要です。お風呂の入浴温度を40℃とすると、実に30℃も沸かさなければなりませんから、燃料費が嵩み生活を圧迫します。灯油などは、安いところを見つけて買いに行かれている方も多いのではないでしょうか。
太陽の力で日常使うお湯が沸かせたら。
でも、太陽熱温水器は冬に使えない、格好悪いなどと思われているかも知れません。
たしかに、これまでの太陽熱温水器は平板型が主流でした。パネルの中をぐるぐると水を回して、その間に太陽熱を集める方式です。たしかに採熱はしますが、同時に放熱も多いので、気温の高い春から秋ならば十分使えますが、肝心の冬には冷めてしまう欠点がありました。
- ガラス真空管+ヒートパイプを使った圧力型太陽熱温水器
- 採熱性能と経済性
- 真空管式太陽熱温水器のタイプと規格
- 水道への接続方法
- 価格
1 ガラス真空管+ヒートパイプを使った圧力型太陽熱温水器
そこで考えられたのが、採熱しても冷めにくい真空ガラス管を使った太陽熱温水器です。
ガラスは光を通しやすい性質があり、これを二重にして内部を真空にしたのがガラス真空管採熱器で、熱の元である赤外線のみを通すコーティングが施してあります。
この中に水を入れれば水が温まりますが、ガラス管が割れると漏水してしまう欠点があります。
そこで考えられたのがヒートパイプで、たとえガラス真空管が割れても漏水することはありません。
ヒートパイプは銅製で、周りに集熱のためにアルミフィンがあります。
ヒートパイプの発明は、タンクと採熱器を完全に分離することができるため、水道圧に耐えられるタンクが使えます。
また、仮にガラス管が割れても漏水がありませんし、交換時もタンクの水を抜く必要はありません。
従って、地上に日当たり条件の良い設置場所があるなら、わざわざ高い費用を払って屋根に載せる必要もないのです。
2 採熱性能と経済性
採熱性能については、メーカーが公表しているわけではありませんが、水温プラス30~40℃以内に設計されているように思われます。
例えば、200Lのタンクで真空管が24本の製品であれば、真冬の水道水が10℃と仮定すると一日の到達温度は最高でも50℃。反対に夏は、水温が25℃であれば65℃です。
※採熱器の設置角度や日照時間などで到達温度は違ってきます。
以前使っていた製品の2011.2月のデータを示しますが、到達温度は最高でも50℃を超えたくらいです。(60℃は朝の温度が高いため)
水道水の温度は10℃あるかないかで、このくらいにしておかないと夏場のお湯の使い道がなく、バランスが悪いと言えます。
次に経済性はどうでしょうか。
タンクと採熱器がセットになっている場合には、型の違いはあっても上記のような設計になっていますので、200Lの圧力型を使った場合の燃料削減率を考えて見ます。
一日に使うお湯の量
お風呂 200L 40℃
台所・洗面台 100L 20℃
加重平均温度 (200×40+100×20)/300=33.3℃
これが真冬であれば、水温10℃ですから23.3℃を燃料を使って暖めなければなりません。
それに対し、真空管式太陽熱温水器を使った場合、上の図では月平均上昇温度が23.6℃で大幅な燃料削減ができることになります。
もちろん家族が多かったり、使い方次第で大きく変化することは当然のことですが、いかに太陽熱温水器の貢献度が高いことがお分かりいただけるのではないかと思います。
3 真空管式太陽熱温水器のタイプと規格
<タンク一体型(圧力式)>
一般的には200L(真空管が22本)、当社のは210Lで真空管が24本です。
< 分離分割型(強制循環式)>
採熱器と貯湯タンクが分かれている方式です。
採熱の方法は、水(不凍液)を小型ポンプにより、採熱器と貯湯タンクを循環させることで熱交換します。(図面参照)
利点として、屋根などへの設置では負担が軽く、景観上も建物とも調和しやすくなっています。
もちろん、タンクは水道圧で耐える構造ですから給湯全体で使うことができます。
制御は温度センサーを使い、コントローラで稼動・停止を繰り返し採熱を行います。
こちらの模式図もタンク一体型と同じで、採熱器が別系統になっているだけの違いとなります。
4 水道への接続方法
太陽熱温水器はどのように接続するのか?
そのようなご質問が多いので、模式図をご覧ください。
構成は非常に単純で、「太陽熱温水器とは給水管から水を迂回させ水温を上げる装置」と言うことがお分かりいただけると思います。
途中にミキシング弁を設けて温度調整しておけば、よく言われる熱いお湯で給湯器が壊れるなどと言うことはありません。
取り扱い製品
当社では、これまでONOSI社の製品を扱ってまいりましたが、2022年よりリノリッター社に変更いたしました。
なお、販売するのは200Lのみとなります。
製品仕様は以下の通りですが、タンク外装は日本向けとしてステンレスとなります。