4月も半分を過ぎて、ゴールデンウイークまであと2週間となりました。

当然、我が家の家庭菜園も忙しくなりますが、その前に大事なことをやっておきたいことがあります。

それは、これから蒔く種の発芽試験です。

もちろん新しく買うならそんな必要はありませんが、単年度では使いきれず残ってしまった種は芽が出るかどうか確認しておかないといけません。

長命の種とされるものは、保存さえきちんとやれば何年も前のが使えるとのことですが、今回確認のため早めに種を蒔いて試験してみました。

試験した種

一般的に売られている種の袋には寿命は書いてありませんが、「野口の種」の商品には書いてあるものが多いです。

また、ネットを検索すると「新ダネと野菜種子の寿命について」を見つけることができます。

勉強のため、全文を以下添付します。

「菜種刈る」「菜種干す」「菜種打つ」いずれも、日本の初夏の、季語である。

 春にトウ立ちし、満開の菜の花を咲かせた白菜や、カブ、小松菜などのアブラナ科野菜は、初夏に成熟して梅雨入り前後にタネが実る。大根、葱などの秋まき野菜も、みな同様である。
 採種農家の畑で、茎ごと刈り取られたタネは、梅雨を避けて軒端で干され、晴れ間を見てサヤから脱穀され、各戸ごとに計量されて、採種農家の組合を通じて種苗メーカーに買い取られる。

 種苗メーカーの手に渡ったタネは、異物や未熟種子などがふるい分けられ、梅雨時の湿気や盛夏の高温を過ぎても発芽力を失わないように乾燥され(含水量が少ないほど高温多湿に耐えられる)、メーカーによっては殺菌剤や発芽促進のための薬剤が塗布された後、袋詰めや缶詰めにされて、種苗小売店に向けて発送される。
 こうして秋の新ダネが小売店の店頭に並ぶのは、例年、早いもので6月下旬、多くは7月になる。タネの成熟が盛夏にかかる玉葱などは、8月に入らないと新ダネが入荷しないのが普通だ。(これ以前に店頭に並んでいる秋野菜のタネは、100パーセント古い=ヒネ種子=と思って間違いない)

 近年、大手メーカーは、採種地を海外に移しているため、採種時期に変化が生じているが、国内野菜産地の播種期が変わらない以上、流通時期に変化は現れていない。南米産など日本の季節外れに採れたタネは、これ幸いと発芽検定や(一代雑種にとって最も怖い「交配ミス」を発見するための)遺伝子調査や、異常株発見のための試験栽培に、この貴重なタイムラグを過ごしている。


 ところで、
  「こんなに蒔ききれないんですが、このタネは来年も使えますか?」
 と、店頭でお客様によく聞かれるが、
「野菜の種類によって、タネの寿命が違うし、採種地のその年の天候によって、充実の度合いも違うから、一概に言えませんけど、信用できる小売種苗店の新ダネだったら、お茶の缶などに乾燥剤などと一緒に入れて、冷蔵庫の野菜ケースなど5℃位で温度が一定の場所にしまって置けば、数年は大丈夫ですよ。温度と湿度が低くて一定している所なら、タネの生命力はそんなに落ちません」
 と、答えている。そして、
「ただ、外気温の変化をそのまま受ける所や、湿気の多い所に保存した場合、日本の真夏の高温多湿を経験するごとに、確実にタネの寿命は尽きてきます」
 と、付け加える。

 例えば、寿命の短いタネの代名詞である玉葱の場合、北海道では常温で7年貯蔵できたそうであるが、本州では2年後、台湾では1年後に死滅していたという。高温多湿が、いかにタネの寿命を縮めるかわかる。(出典:井上頼数編『蔬菜採種ハンドブック』養賢堂1967)

 また、低温低湿度で変化のない理想的な状態で数年保存されたタネも、いったん外に出され、直射日光の当るような高温の場所に置かれると、環境の激変で急激に体力を消耗し、寿命が尽きて発芽率が落ちてしまう。冷蔵庫から取り出したら、なるべく日数を置かずに蒔いてしまうことである。


 採種後、本州常温下での野菜種子の品種ごとの寿命は、おおむね以下の通りである。
 (上掲書より=原資料は1933/近藤による=)

A.短命種子(1~2年)
 葱、玉葱、人参、三つ葉、落花生

B.やや短命種子(2~3年)
 キャベツ、レタス、唐辛子、豌豆、インゲン、そら豆、牛蒡、法蓮草

C.やや長命(2~3年)
 大根、カブ、白菜、漬菜類、胡瓜、南瓜

D.長命種子(4年以上)
 茄子、トマト、西瓜

以上、とても参考になるもので、簡単に言えば保存状態さえ良ければ何年も使えることが分かります。

ただ、私などのような素人が保存をしたとしても、実際に保存できたかは別問題です。

ですから、それを確認するうえでも発芽試験をやることの意義は大きいと思います。

・トマト

トマトは長命とされており、種袋には4年以上は使えると記載されています。

この種を採種したのは2020年11月で、4年目になるわけですが下の写真のように発芽率は良いようです。

ただ、左の愛知ファーストは発芽が良くありません。

昨年は良かったので、保存状態が良くなかったのでしょうか。

なお、播種は4/2なので2週間くらいで発芽しました。

・キュウリ/ピーマン/ナス

きゅうり(加賀節成)は、4/3に播種しました。

3ポット蒔いて1ポット、かなり発芽率が低いですね。

同日に、ピーマンも蒔いています。

これらは2022年に購入した種ですが、発芽はゼロ。

トマトは発芽しているので、保存が良くなかった可能性が高いと考えられます。

早生真黒茄子

これは2020年の種ですが、茄子はトマトよりも長命で5年以上とされています。

播種日は4月2日、残念ながら発芽していません。

右側のキャベツとブロッコリーはかなり育っていますから、温度管理と言うよりも保存状態が良くなかったのではと思われます。

万願寺唐辛子

これは昨年自家採種したもので、出来が良いものから採取したのですが、発芽率は半分ちょっと。

微妙な発芽率なので、選別がアバウト過ぎた可能性もあります。

ちなみに、種は1個づつ蒔いています。

キャベツ/ブロッコリー

これは今年買った新しい種です。

当然とはいえ、発芽率は100%でした。

考察

さて、垂直仕立て栽培を始めてからは野菜苗をほとんど買わなくなりました。

そのため非常に安上がりな家庭菜園ができていますが、悩みは種が使いきれず余ってしまうこと。

余った種は冷蔵庫で保管していますが、それでも発芽するかどうかは不安。

ポットに蒔くなら早めに蒔くことは可能ですが、垂直仕立て栽培では直播を推奨しているので、5月の連休以降に蒔いています。

問題は、ここで発芽に失敗すること。

蒔き直しになると、少なくとも1~2週間は出遅れてしまいますから、収量が大幅に減ることを覚悟しなければなりません。

そのため、これまでは予備にポットで苗を作っていましたが、それでもうまく行かない時もあるわけです。

なので、今回思いついたのは先に発芽試験をしておくこと。

うまく行ったら苗はそのまま使い、時期が来たら直播にするようにします。

もしもダメだったら新しい種を買い直す。

今回は、長命とされるナスやピーマンなどが発芽しませんでしたので、種の管理が十分でなかった可能性が大です。

つまり、種を蒔き終わったら速やかに冷蔵庫で保存する必要性を感じました。

また、常識的に考えて年ごとに発芽率は下がってくるはずですから、あまりケチらずに使い切ることも重要ではないでしょうか。

今回の試験結果からの結論は、以下の通りとなります。

1)種の保存管理に注意する

2)できるだけ自家採種して常に新しい種を使う

3)買う場合は必要な分だけにする

そんなわけで、昨年からは信州山峡採種場を利用させていただいています。

ここは100円から販売しているので必要な分だけ購入できます。

1000円以上買うと送料無料なので、いつもたくさん買ってしまいますが、少量ですから無駄にはなりません。

家庭菜園をやるものにとっては非常に有難い存在です。