魔法瓶は保温性の高いものを選ぶのが普通ですが、実は最近はやりのステンレスは臭いが移ることをご存じですか。

金気(かなけ)と言う言葉があります。

金気とは、水中に溶けている鉄分、また、その臭いや味のことです。

つまり、ステンレス製の魔法瓶は、金属ですから大なり小なりこの金気から逃れられません。

昔は魔法瓶と言えばガラス製でしたが、最近ではステンレスの物が主流で、私もサーモスのステンレス魔法瓶を長く使ってきました。

しかし、8年も使っていると流石に保温力も落ちたように感じ、買い替えを検討中にガラス製の魔法瓶を目にしました。

カラス製はもう作られていないと思きやさにあらず、まだまだ現役で、ファンも多いようです。

残っているのには訳がありました。

魔法瓶の構造と原理

ところで、魔法瓶の構造はこんな風になっています。

全国魔法瓶工業組合貝のサイトから

まほうびんの構造(なぜ高い保温・保冷力を発揮できるのか?)

さらに、もう少し詳しく解説されている記事もありましたので参考に貼っておきます。

これで解決!2つの違いというサイトから。

ステンレスと魔法瓶の違い

  • 概要 –
    水筒(ボトル)やマグなどの容器に用いられるが、「ステンレス」は傷みにくく錆びにくいが、冷温の熱が逃げやすい性質をもち、「魔法瓶」は一般的にガラス製の二重構造で、この間を真空状態にすることで保冷温機能に長けるが、破損しやすく重いという性質をもつ。しかしながら、両方のメリットを取り入れた「ステンレス」製の「魔法瓶」が作られ、さらに軽量化を図り、チタン製の「魔法瓶」も開発されている。
  • 詳しい解説 –
    「ステンレス」と「魔法瓶」は、主に水筒やマグボトルの内側の材質及び構造のことである。「ステンレス」とは材質で、傷みにくい、錆びにくい、熱伝導率がよいという性質をもつ。一方、「魔法瓶」とは内部が二重構造になっており、その間の空気を抜いて真空状態にすることで保温性や保冷性を高めた構造である。筒内部がガラス質でコーティングされているため、破損しやすく重い、容器がかさばるなどの欠点ももつ。

つまり、水筒に「ステンレス」を使用した場合は、傷みにくいが保温性や保冷機能が劣り、「魔法瓶」を使用した場合は、重く破損しやすいが、保温性や保冷機能に長けることとなる。

なお、近年、「魔法瓶」にガラス質ではなく「ステンレス」を用いたり、さらに軽量化を図ったチタン製の、スリムで小型化されたものも開発されている。

結論として、

水筒に「ステンレス」を使用した場合は、傷みにくいが保温性や保冷機能が劣り、「魔法瓶」を使用した場合は、重く破損しやすいが、保温性や保冷機能に長けることとなる。

ガラス製が保温性に優れると言っているのですが、ここでは金気については言及していません。

本当に保温性能に差はあるか

ただ、実際にガラス製とステンレス製でそれほど大きな差があるのでしょうか。

更に調べたらこんなサイトがありました。

魔法瓶はガラスが一番温度を維持すると聞きました。なぜガラスが良いんですか?

以下、引用します。

魔法瓶は、今ではステンレス製が主になっているようです。保温マグとかもそうですね。

熱か移動するには伝導、対流、放射の3通りがあります。その内、伝導と放射に対してガラス製の方が優れています。

(1)熱伝導について

ステンレスよりガラスの方が熱伝導率が低いからです。

魔法瓶を縦断面を見ると、口の部分で内側と外側が繋がった構造になっています。

内側と外側の間は真空(空気を媒介する熱移動を防ぐため)にしてあります。

魔法瓶にお湯を入れると、内側が暖められ口の部分を通って外側に熱が伝わり外部に放出されます。これはガラス製でもステンレス製でも同じですが、熱伝導率の低いガラスの方が外側に伝わる熱が少なくなるからです。

(2)対流について

内側と外側の間に空気があると内側と外側の温度差により内部の空気に対流が発生し内側から外側に熱が移動します。内側と外側の間が十分狭く対流が発生しない場合でも空気熱伝導によって外側に熱が移動します。その為、内側と外側の間は真空にします。これはガラス製でもステンレス製でも同様です。

(3)放射について

物質は暖められると赤外線を放射します。赤外線を浴びると物質は暖められます。

お湯を入れると内側が暖められ赤外線を放射します。外側が内側からの赤外線を浴びて暖められる事によって熱が移動します。

ガラス製の場合、内側を鏡にすることで熱の放射を防ぐ構造になっています。

これを読んでもガラス製が熱伝導の観点からも保温性が高いと言ってますね。

ただ、違っても僅かだと私は思いますし、もっと大事なことがあると思っています。

金気はやはり避けるべき

それは、魔法瓶ですから保温性能は大事ですが、臭いがついたり、味が変わっては困ると言うことです。

しかし、実際にガラス製とステンレスの違いなんて分かるのか、と思われるかも知れません。

結論は微妙ですが、注意深く比較すると間違いなく分かります。

味覚や嗅覚の鋭い人は当然分かりますが、実態として医療用や飲食店などがガラス製を使っている事実からして納得ができるはずです。

なのに、家庭用ではほとんどがステンレスです。

むしろ、家庭用は毎日使うのでガラス製でないとおかしい、のではないでしょうか。

もちろん持ち運びには向いていませんが・・・

と言うことで、私はこのガラス魔法瓶を購入しました。

エアーポットではなく、単純なねじ込み蓋式。

この方が構造が簡単で、保温性も高いはずです。

値段も高くありませんし、かなりの高性能。(額面通りなら)

以下、商品のサイトから引用します。

<保温効力とは>

それぞれの言葉の意味するところは、読んで字の如く「温かく(冷たく)温度を 保つ効果と力」となり、保温・保冷それぞれ下記のように定義されています。 保温効力 室温20±2℃において、製品の中栓下端まで熱湯を満たし、縦置きにした状態で、 湯温が95±1℃の状態から一定時間経過した時の湯の温度。

放熱をチェック

正確に実験するのは難しいので、反射温度計を使って放熱状況を確かめてみました。

93℃以上に沸かしたお湯をポットに入れ、2時間経過後に表面温度を測ってみました。

側面は19.4℃、ほぼ室温(約20℃)ですから放熱していないこと分かります。

次にキャップの上を測ってみます。

ここはシリコンキャップで塞いでいるので、ある程度の放熱は避けられません。

測ってみると、26.9℃と室温(約20℃)より高いので放熱していることが分かります。

使い勝手は普通ですが、ボディが太いので安定感はあります。

重さは1kg弱(実測994g)でしたが、バランスが良いのか軽く感じました。

最後に

購入したのは中国製ですが、日本製の2Lの製品はエアーポットが主流のようです。

しかも電気ポット。

もちろん、そうでないものもありますが、このような構造の物は値段が高くなるばかりで、故障も増えます。

魔法瓶は保温するのが目的ですから、あまり利便性を求めると経済的ではなくなってしまいます。

それに、金気は重要なポイントであると私は思います。

なお、真空管で沸かしたお湯で淹れたお茶やコーヒーが美味しいのは、ガラスだからだったんですね。

改めて納得しました。

#魔法瓶 #ガラス製 #省エネ