とちぎエネットです。
今回は少し変わった真空管、グラスヒートパイプをご紹介します。
それは、真空管自体がヒートパイプとなっているもので、一般的に使われている銅製のパイプは使いません。
ほとんど普及していないのですが、このような優れた製品もあることを知っていても損はありません。
1.ヒートパイプは自然落水型には向いていない
2.真空管内に水が入るタイプは割れると水が漏れる
3.グラスヒートパイプとは
4.まとめ
1.ヒートパイプは自然落水型には向いていない
一般的な真空管式太陽熱温水器に使われているヒートパイプは、以下のようなものです。
右上のは圧力型や分離分割型に使用されるもので、細い(右下)のは自然落水型に使われています。
私もこの細いタイプのヒートパイプを使った自然落水型を設置したことがありますが、5年経過したころに水が漏れ出しました。
メーカーに問い合わせると、ガスケットを定期的に交換しなければならないとのことでした。
ヒートパイプは、太陽熱を先端に集中させてお湯を効率的に温めることができますが、200℃近い温度になるために問題も発生します。
いかに耐熱性の高いシリコンと言えども、年月が経過すれば癒着してしまうことがこれで分ったわけです。
しかし、5年に一度ガスケット交換はやってられません。
開発された経緯は知りませんが、ヒートパイプ方式は圧力式のために考案されたものと考えれば納得がいきます。
つまり、真空管内に水が入るタイプでは水道圧に耐えるのは無理で、タンクと採熱器が完全分離することで可能になるわけです。
熱交換は、カバーを通して輻射熱により行われます。
これなら真空管が割れても水は漏れませんし、交換も簡単にできるので安心していられます。
しかし、一部メーカーの製品ですが、圧力型でもヒートパイプの先端が貯湯タンク内に入っているものもありますから、選定にあたってはこの点に注意したほうが後々良いのではと思います。
このような理由で、自然落水型ではヒートパイプを使った製品は避けるべきと考えます。
2.真空管内に水が入るタイプは割れると水が漏れる
そう考えると、真空管内に水の入るタイプなら問題ないと思うかも知れませんが、ことはそう単純ではありません。
私が最初に購入したのもこれで、タンクと真空管の接続は差し込むだけで完全に漏水しない、大変優れたものでした。
心配なのは、何らかの原因で真空管が割れたときにはダダ漏れになってしまうこと。
確率は低いですが、やはり気になる部分ではないでしょうか。
幸いなことにそのようなことはありませんでしたが・・・
それから、これは本当かどうか知りませんが、真空管内にアオコが発生することがあると聞きました。
たしかに、高い温度に毎日なるならそのようなことはないと思いますが、天候不順は常にあるわけで、ぬるい温度であると発生する可能性は否定できません。
シンプルで安いのでお風呂だけに使うならありだと思いますが、給湯全体に使うことを考えたら圧力型か分離分割型にするべきです。
3.グラスヒートパイプとは
ここでようやく本題ですが、グラスヒートパイプはほとんどの人が知らないと思います。
先端がこんな形をしています。
通常は、中にヒートパイプが入りますので、このように塞がっているのではなく開いているわけです。
下の先端はこのようになっていて、これは同じです。
つまり、グラスヒートパイプは両端が塞がっているので、水は入っていないわけです。
内部に特殊な液体が入っていて、これが熱せられると上昇し熱交換します。
これは、金属のヒートパイプの内部構造と同様の考え方で、油のような液体が見えます。
最大の特徴は、ヒートパイプのように先端が極端な温度にならないことが大きなメリットで、最高でも100℃以上にはなりませんし、内部には水が入らないのでアオコが生える可能性はゼロです。
それから管が割れても水が漏れないのも良い点です。
先端がタンク内にあるため、その部分が割れない限りガスケットより露出している部分が割れても水は漏れません。
実は、私が使っている太陽熱暖房の採熱器はこれを使っています。
最初はヒートパイプ式を使っていたのですが、夏場に暖房を使わないためにガスケットが癒着し漏水が起きました。
現在ではこの真空管に変えていますので問題は解決しましています。
グラスヒートパイプは、採熱能力はやや劣るような気がしますが、暖房を使わない期間は熱を逃がすだけで良いので安心していられます。
4.まとめ
グラスヒートパイプは、たぶん世の中に知られずに消えていく運命なのでしょうが、ちょっともったいない気がします。
あえて使うとすれば、私のような温水暖房か自然落水型に使うと面白いし、週末住宅などには良いかもしれません。
使わないでいても過集熱の問題から逃れられる、割れても漏水しないのはのは大きなメリットです。
製品は特注にはなりますが、価格は真空管の差額だけで特に高くなるわけではありません。
興味のある方はお問い合わせください。
問い合わせ先 E-mail tochigi.ent@gmail.com