今さらですが、日々の暮らしの中で一番必要なエネルギーは「熱」であることは理解できていますでしょうか。
最近は何でも電気で、とような風潮がありますが、実際のところ電気は無くても人間は生きていけます。
そんな生活に一番大事な熱、特に太陽熱があまり利用されていない実態があります。
もちろん、普通に暮らしていても太陽の恩恵には与れているわけですが、もっと積極的に使わないと暮らしは楽になりません。
また、あまり化石燃料を燃やすと、経済的にも地球環境にもよろしくないわけです。
ただ、太陽熱はエネルギーが小さくて使えないとか、元が取れないとかいろいろ言われます。
しかし、これらの指摘は使い方が間違っているか、誤解をしているからにほかなりません。
なので、今回は太陽熱を利用するにあたり理解しておきたいことを書いておきたいと思います。
太陽熱と燃焼の違い
太陽エネルギーとはとてつもなく膨大なものですが、実使用では石油やガスなどの燃焼に較べるとと小さいと感じると思います。
例えば、1リットルの水を90℃にするには、ガスなら数分ですが、太陽であれば自然界ではそこまで到達しません。
太陽ポットでも何時間もかかります。
でも、こんなものでも2・3時間太陽に当てれば水が沸騰するまでになります。
つまり、太陽熱利用と言うのは「蓄熱」です。
なので、朝からガンガン使うと言うわけにはいかないのです。
灯油とかガスだったらそんなことはなく、火を点ければいつでも使えてしまいます。
ここが大きな違いなわけです。
そこを理解しないで太陽熱をやろうとすると、「なんだこんなもの使えない」となってしまうのです。
それから、太陽熱を使いたいと言う動機は何でしょうか。
燃焼で熱を得るにはお金がかかりますが、太陽熱ならタダだからですよね。
“タダより高いものはない”なんて格言もありますが、太陽は人を騙しません。
きちんとした考えで太陽熱を利用すれば、十分に満足のいく結果が得られます。
私は12年前に真空管式の太陽熱温水器に出合い、以来どれくらいの燃料(灯油)を削減してきたか。
計算はしていませんが、少なく見積もってもドラム缶(200L)50~60本くらいにはなるはずです。
凄い量だと思いませんか。
太陽熱を保存する
さて、それでは具体的に考えていきましょう。
現在私たちは、なんでもスイッチ一つでできるような生活をしています。
例えば、お風呂のお湯を沸かすことを考えてみましょう。
我が家で使っているのは石油ボイラーです。
スイッチを入れれば自動で指定の温度(例えば40℃)に焚き上げてくれます。
所要時間は20分くらい。
実に簡単で便利ですね。
一方、これが太陽熱温水器では何時間もかかりますし、天気次第ではそこまで沸かないかも知れません。
なので、こんな不安定なものは使えないと思うのはある意味仕方がありません、ここで思考を止めてしまってはダメなのです。
太陽熱を利用する場合には時間がかかると言いました。
ならば、時間をかければいいのです。
使える時間(温度)になったら使う。
そうすれば有効に使えるのです。
言いたいことは「太陽熱はすぐには使えないが、貯めれば使える」です。
太陽熱温水器は、まさにそのような仕組みになっているわけです。
夕方になって、冷たかった水がお風呂に入れるくらいになっていたら嬉しくありませんか。
燃料を使わないでお風呂に入れてしまうんです。
素晴らしいことですよね。
なお、これはソーラーエアーヒーターでも同じことなわけです。
ソーラーエアーヒーターは、真空管の中に水を入れずにPCM(蓄熱材)が入っているので、考え方は全く同じです。
まとめ
個人的な見解かも知れませんが、現代社会は利便さを求めすぎているような気がします。
そのため、最新のテクノロジーだけがもてはやされるのは残念なことです。
世の中はハイテクだけが素晴らしいわけではありません。
私は太陽熱温水器やソーラーエアーヒーターのように、ローテクだけど自然の摂理に逆らわないものが一番素晴らしいと感じています。
故障もなく、そして長持ちする。
資源を無駄にしない。
これこそが自然と共生する生き方であると信じます。