こんにちは、とちぎエネットです。
お湯を沸かすには燃料が必要です。
多くの場合、ガス・灯油・電気などを使われているとは思いますが、価格の変動も大きく10年前、20年前と較べるとかなり高くなっています。
そのため、太陽でお湯を沸かせればと思ったことはないでしょうか。
100%は無理でも半分とかになれば生活がかなり楽になりますよね。
単純な話、ペットボトルに水を入れて日当たりの良いところに置いおけば30℃くらいまでにはなりますが、それ以上にはなかなかなりません。
それはなぜか、お湯が暖まると同時に熱が逃げてしまうからですね。
例えば、お湯が30℃になったにしても周囲の気温が10℃なら熱エネルギーは低いほうに移動してしまいます。
つまり冷めてしまうわけです。
昔から燃料費を節約するために、黒いホースなどを使った太陽熱温水器を自作してお風呂に使っていた人はけっこういましたが、最近はめっきり少なくなってしまいました。
その理由は、収入が増えて生活が豊かになり、そんな涙ぐましい努力をせずとも灯油やガス、あるいは電気で簡単にお湯が沸かせるからでしょう。
しかし、その豊かな生活が一変したのは2011.3.11に起きた東日本大震災により、一瞬にして電気が途切れ、灯油は買えない悲惨な生活を強いられました。
そんな中で、私は真空管式の太陽熱温水器を使っていたおかげで、灯油が無くとも毎日お風呂に入れました。
人は豊かになると、貧しく苦しかった時代を忘れがちです。
かつて、いろいろと工夫して太陽でお湯を沸かしていたことを思い出しましょう。
幸い技術は進歩していて、真空管式太陽熱温水器は簡単にお湯が沸かせるだけではなく、しかも冷めにくいから真冬でも安定的に使えます。
(目次)
- 真空管採熱器の衝撃
- 暑さ寒さに関係ない
- 水を沸騰させる(動画)
- まとめ
1 真空管採熱器の衝撃
それは2010年6月、我家のベランダに、真空管式太陽熱温水器を取り付け、運転を開始したことに始まります
どれほどの実力なのか知るために、それから一年間、毎日、朝と晩に温度を計測することにしました。
その結果を下に示しますが、当然ながら年が明けた1月から5月のデータは2011年のものです。
ご承知のように、2011年の3月11日に東日本大震災がありましたが、幸いにして太陽熱温水器は無事で測定を続行できました。
測定して分かったことは、水道水の温度が10~25℃の範囲で変化していること。
それまではあまり気にすることはなかったので、これほど大幅に変化しているとは思ってもいませんでした。
特に冬は水温が10℃あるかないかで、当然ながらお湯を沸かすのに燃料がたくさんいるわけです。
頭では分っていますが、具体的に数字で知るとより実感します。
灯油を買いに行くのが忙しいのは当たり前ですね。
一方、太陽熱温水器の温度(タンク内の温度)が、一番寒い2月で月平均31.9℃にもなることに衝撃を受けました。
最高温度は45℃近いです。
繰り返しますが、これは月の平均値です。
凄い!
設置場所も理想的ではないですが、メーカーが公表しているデータと概ね一致していました。
私の測定もまんざらではなかったようです。(笑い)
2 暑さ寒さに関係ない
次に、これは2011年2月のデータです。
2月は一年のうちで一番気温の低い月ですが、天気も晴れが多く安定していますので、到達温度が50℃前後が多くなっています。
いずれにせよ、月平均温度は34.8℃ですから入浴温度を41℃とすると僅か6℃分を加熱するだけで良いわけです。
お風呂だけしか使っていませんので、削減率の計算は簡単です。
太陽熱温水器なし 41-10=31℃
太陽熱温水器あり 41-34.8=6.2℃
6.2/31=0.2
つまり従来の20%の燃料でお風呂に入れることになります。
ただ、これはタンク内の温度です。
実際には配管からの放熱ロスを10%ほど見込むと、30%くらいが妥当ではないかと思います。
ちなみに、3.11の時は、震災後の天気は快晴の日が続いたこともあって毎日40℃を超えていました。
したがって、燃料である灯油が入手できない中、毎日お風呂に入れたのです。
とにかく寒かったので非常にあり難かったし、助かりました。
それから、この太陽熱温水器はコントローラで電磁弁を開閉する方式です。
東電による嫌がらせのような計画停電がありましたが、電磁弁の開閉は電気が来ているときにお湯を上げ下げしました。
その後、電気を使わず水圧だけで動作するタイプがあることを知りました。
ま、圧力型ならそんな心配は要りませんが・・・
次は2010年6月のデータです。
水温が高いわりに到達温度が最高でも36℃です。
理由は、設置場所がベランダのため屋根が光を遮ってしまうためです。
本当は2階の屋根に設置をしたかったのですが、設置費用があまりの高額な見積もりだったため、ベランダに自分で設置したのです。
でも、そのおかげで地震でも壊れませんでした。
お世辞にも上手な設置ではありませんでしたが、真空管は太陽光がしっかり入れば、真冬でも十分な採熱が出来ることを実証できました。
逆に、空気の澄んでいる冬期間の方が光の量が多くなるため温度が高くなる傾向もみられます。
よく平板式の太陽熱温水器でも、熱くてお風呂に入れないほどの温度になるなどといいますが、それは夏場の暑い時期です。
真冬にそんな温度になることはありませんし、暖めるよりも冷めるほうが多いのではないでしょうか。
名前は同じ太陽熱温水器ですが、真空管式は全く別物なので比較することが間違っていると思います。
3 水を沸騰させる(動画)
さて、実際に燃料を使わず、太陽光だけで水が沸騰する瞬間を見た方は少ないと思います。
そもそも太陽光とは電磁波の一種ですから、熱で地球に届いているわけではありません。
「太陽光が水の分子に衝突して熱を発生させる」という、目にみえない現象なのです。
理屈はどうあれ、小さな真空管でお湯を沸かしてみましょう。
使っているのは、Φ58mm×60cmの真空管です。(標準品はΦ58mm×1.80m)
原理としては
- 太陽光が真空管内の水の分子と衝突して熱を帯びる
- ガラス管が2重で真空になっているため熱が放出されない
- 太陽光(熱)がある限り温度が上昇する
これまでの実験で、10分間に8℃程度、温度が上昇することが分かっています。
1時間なら6×8=48℃
2時間あれば水温が低くてもほぼ沸騰までいきますが、晴天であることと、真空管を太陽に向け続けている必要があります。
4 まとめ
かつての太陽熱温水器は平板型と呼ばれるものでした。
それなりの採熱能力がありますが、春から秋のまでは使えても、気温が低い冬期間は熱が逃げてしまい使えません。
その弱点を改善したのが真空管式太陽熱温水器です。
真空が光(赤外線)を通しても、熱を通さないことを利用したものです。
真空管内に太陽光が入り、水(ヒートパイプ)を暖めますが、その熱は真空に阻害されて外に逃げません。
つまり、魔法瓶のような構造になっています。
真空管式の太陽熱温水器は、熱変換のためのエネルギーは必要ありません。
ただ、置いておくだけです。
お湯を沸かすだけでなく、地球温暖化や自然環境の悪化を気にされる方には、ぜひ使っていただきたいと思います。