ここでは失敗のない太陽熱温水器設置をするために、設置場所、機種選びの基礎知識を解説します。
- 設置場所と機種の選定
- タンク容量の決め方
- まとめ
1 設置場所と機種の選定
太陽熱温水器を設置する場所はどこが最適なのでしょうか。
もちろん長い時間日が当たる場所が良いわけですが、なかなかそうもいかないのが現実です。
多くの人は屋根に載っている太陽熱温水器を思い浮かべますが、確かに屋根であれば日照が良い可能性が高いのですが、メンテナンス上は明らかに不利となります。
従って、それぞれの事情によって最適な場所を見つけ、それに適合する太陽熱温水器を探します。
1)屋根
一般的に障害物が少なく日照に有利なケースが多いですが、反面、高所であることは大きなデメリットでもあります。
写真の太陽熱温水器は、人力で2階の屋根に持上げて設置しています。
ここまで持上げるには、足場を設置して数人で持上げるか、クレーンを使わなければ危険ですから当然設置費用が高くなります。
そうなると、設置費用が太陽熱温水器よりも高くなることも珍しくありませんし、漏水などの不具合や定期的なメンテナンスもしにくくなります。
屋根に設置する場合には、屋根に何らかな方法で登れるように工夫をしておくことと、採熱器の軽い分離分割型を推奨しています。タンク一体型は重いのでできるだけ避けるようにしてください。
2)ベランダ
ベランダに設置することは、管理面で屋根よりも格段に優れていますし、通常は日当たりも良いケースが多いはずです。
貯湯タンクを2階ベランダか室内(ボイラー室)に設置すれば、お風呂や台所まで最短距離で配管すれば良いので放熱ロスは少ないです。積雪の多い、極寒冷地の北海道や東北地方に向いていますが、設置場所が限られている場合にも検討に値します。
ベランダ型は、真空管が85cmと標準的なベランダに合わせ短くなっています。
採熱量は標準(1.80m)のものと較べて劣るので割高感はありますが、日頃の管理ができる点は大きなメリットです。
3)地上設置
従来からある太陽熱温水器のほとんどは自然落水型で、屋根などの高いところに置いていたのは自然落下させるために必要なためだったわけです。
しかし、現在では水道圧に耐えられるような製品がありますので、必ずしも屋根に載せる必要はなく、日照が良い場所ならどこでもかまいません。
土地に余裕があり、車などの通行に邪魔にならない場所があるなら地上設置を考えるべきです。
地上にあるわけですからメンテナンスも容易で設置費用も一番安くなりますが、ケースとしては少なくなります。
2.タンクの容量の決め方
統計によると、標準家庭(4人)で水道水を1日当たり約800リットル使うとなっています。
この内、お風呂200、洗面50、台所50と仮定すると300リットルとなります。
お風呂を主体に考えるのであれば200Lの温水器で十分と考えられます。
家族が多い場合、たっぷりお湯を使いたい場合は300L以上のタイプを選ぶようにしてください。
(参考資料)
3 まとめ
屋根は一般的に日照条件が良いのですが、設置するのに難しい場所でもあります。
いかに自然エネルギーを使うためとは言え、重いタンク一体型の太陽熱温水器を屋根まで持上げるのは苦労も多く危険でさえあります。
太陽熱はタダのエネルギーではありますが、それを使うためには機器を買うだけでは十分ではなく、創意工夫が求められます。
太陽熱利用においては採熱から保温、そして利用までの間で熱をできるだけ逃がさないことが求められます。
しかし、従来の平板式は採熱はするものの放熱も多く、気温の低い真冬においては十分な熱量を確保できませんでした。
これを改善したのが真空管採熱器です。
二重ガラス管になっており、真空は熱を通さないため極めて効率よく熱を集めます。
そして、配管に十分な保温対策を施すことにより太陽エネルギーの利用が可能となります。