こんにちは、とちぎエネットです。
冬になると給湯の燃料費が大変ですね。
ただでさえ燃料費が高騰しているのに、真冬の水道水の温度は10℃以下、タンクに入っている場合には5℃以下になっています。
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これほど冷たい水だと、そう簡単に沸かないので燃料が沢山必要になるわけです。
収入は増えないのに燃料費は上がってきていますから、家計は大ピンチ。
そこで、タダでお湯が沸く太陽熱温水器があったらなぁ、と思ったことはありませんか。
真空管式の太陽熱温水器を使おう
でも、噂では太陽熱温水器は冬にお湯が沸かない、あるいは強引な勧誘などが過去にあったし、いい話は聞かないなど不安があるのではないでしょうか。
でも、ご安心ください。
太陽熱温水器とは、太陽光を集めてお湯として熱エネルギーを保存する装置で、大して難しい技術ではありません。
その証拠に、夏なら散水用のホースの水が熱湯になりますし、ペットボトルに水を入れておいても40℃前後にはなります。
40℃なら、十分お風呂に入れる温度ですよね。
でも、こんな簡単なものでお湯が沸いてしまったらどうなりますか。
灯油やガス、電気など燃料会社・電力会社の売上げが大幅に減ってしまいますよね。
本当は皆さん知っているんですよ、知らないはずはありません。
教えたくないだけです。
ならば、自分で勉強して真空管式の太陽熱温水器を設置してみませんか。
地上に置くなら誰でもできますし、簡単です。
- 太陽熱温水器を自分で設置しよう!
- 真空管式太陽熱温水器は、設置だけでなく廃棄も簡単
- 地上設置の手順
- まとめ
1 太陽熱温水器を自分で設置しよう!
と言うことで、誰でもできる圧力型の「真空管式 太陽熱温水器」の設置方法について解説してみます。
そんなことを言われても水を扱うのは苦手の人も多いと思います。
でも、それは慣れていないだけで、実際は簡単な作業ですから安心してください。
しかし、どうして業者に頼まず自分でやることをお薦めするのか。
それは、製品に比べ設置費用(材料費・人件費)がとても高いからなんです。
私が最初に設置した時もそうでしたが、屋根に重い太陽熱温水器を載せるのは案外お金がかかるものなのです。
もし自分で設置できたなら、安く使えるだけでなくメンテナンスもできるので長く安心して使えるわけです。
高い収入が望めない時代にあって豊かな生活をするにはどうするか。
できることは何でも自分でやって支出を減らし、できないことだけプロに頼めばよいのではないでしょうか。
2 真空管式太陽熱温水器は、設置だけでなく廃棄も簡単
昔の太陽熱温水器が錆びてボロボロになって屋根に載っているのを見たことがありませんか。
なぜそうなのか、実は簡単に降ろせないからです。
撤去費や処分料を含めると10万円くらいになってしまうためにそのままになっているわけです。
これでは安易に太陽熱温水器を使おうと言う気にはなりませんよね。
しかし、真空管式の太陽熱温水器はこのように形をしています。
真空管式の太陽熱温水器は、写真(圧力型)のようなタンクと真空管の組み合わせで、フレームはもちろんですがタンク以外は全てバラバラになります。
つまり、真空管式の太陽熱温水器は、組み立て解体が非常に簡単なのです。
配管は別にして、作業の大半がネジ止めで、少し大きめの工作と思ってください。
今回は地上設置の例ですが、基本は屋根でもベランダでも同じです。
※屋根への設置は固定が難しく、素人には難しいです
写真の太陽熱温水器は圧力型と呼ばれるもので、自然落水型のように高いところに設置する必要はありません。
もちろん屋根にも設置はできますが、重いので地上であれば安全に設置ができ、メンテナンスも容易なわけです。
でも、地上設置なんて軽く言ってますけど実は凄いことなんです。
以前の平板型ではこのような圧力型はありませんでした。
【自然落水型の太陽熱温水器はなぜ屋根なのか】
屋根の上に設置しなければならない最も大きな理由は水道圧に耐えられないからで、単純に日当たりが良いからではありません。自家水か水道で屋根の上のタンクに水を上げ、太陽熱で暖めた後にお風呂などに落とすのが一般的です。つまり高さ分の水圧しかありませんから、お風呂のほかに分岐して台所で使いたいとしても無理があります。
3 地上設置の手順
- 事前準備
- 配管図を確認する
- 架台の組み立てとタンクの装着
- 配管
- タンクへの接続
- 本管分岐とミキシング弁周りの施工
- 真空管の取り付け
- 試運転
- 被覆
- 完成
1 事前準備
まずは設置場所を決めましょう。
この事例は、前庭が広かったので地上設置を検討しました。
(検討条件)
- 日照が5時間以上(特に冬期間)
- 車の出入りに邪魔にならない
- 給湯器(石油ボイラー)に近い
3案ほど考えたのですが、最終的に給湯器(石油ボイラー)から10mほど離れた場所に決定しました。
前方に納屋がありますので、冬至の太陽の位置から計算し採熱器に影が入らないことを確認しています。
また、植木はもしも邪魔なら伐採することになりました。(結果は問題なし)
2 配管図を確認する
次に、配管を考えます。
一見、面倒に見えても簡単です。
下図をご覧ください。
とてもシンプルなことがお分かりいただけると思います。
太陽熱温水器とは、給水側から分岐させ太陽で温めて戻すだけなので、どんな給湯器を使っていても大丈夫なのです。
「うちはエコキュートだから、無理でしょと」とよく聞かれるのですが、暖かくした水を供給するだけなので関係ありません。
ところで、ちょっと複雑に見える部分、「MXB」が気になったかと思います。
これは、太陽熱温水器によって高温になったお湯が直接給湯器に入ることを避けるための装置で、ミキシング弁というものです。
仕組みは、バイメタルを使って所定の温度(通常は38℃)に水とお湯をブレンドし給湯器に送ります。
もちろん調整は水圧なので電気は使いません。
非常にシンプルな構造ですが、なんでも電気で動かす現代において大変優れた装置ではないでしょうか。
なお、中国製は安くてお薦めですが、不安な方には日本製が安心かと思います。
3 架台の組み立てとタンクの装着
それでは早速始めましょう。
日当たりや作業などの邪魔にならないかなどを確認し、最初に基礎を設置します。
基礎は、型枠を作ってコンクリートを流し込むよりも、ホームセンターなどで孔の空いた基礎ブロックを購入し、そこにアンカーボルトを埋めておきます。(基礎の下は砕石などを敷いて、しっかり突き固めします)
そして、写真のように架台の足を付属のプレートで固定します。
基礎が済んだら、今度はフレームを組み立てます。
ここで注意するのは、フレームの水平と直角です。
特に直角は、縦・横・斜めの三方向をきちんと出しておかないと真空管がうまく入りませんのでご注意ください。
※タンクが汚く写っているのは、植木の影です。
架台が組み上がったらタンクを載せます。
圧力式のタンクは水道圧に耐えられる構造のため、非常に重いので怪我をしないよう作業は慎重に行います。
200Lのタンクは60kg以上あるはずなので、最低でも2人、できれば3人で持上げてください。くれぐれも、落とすのだけは避けるようにしてください。
※屋根に設置する場合はクレーンを使った方が安全です。
4 配管
次に、太陽熱温水器と給湯器の間の配管です。
給水側は特別なものはいりませんが、給湯側はポリエチレン管の耐熱用(耐熱温度0~95℃)を使います。(分ける必要はありません)
今回のケースでは、配管の中間が車の出入りがあるため、破損防止と保温を兼ねてさや管に塩ビ管を使って埋設としました。
地盤が固くて閉口しましたがなんとかなりました。(写真はあと10cm掘り下げる状況のものです。)
なお、塩ビパイプはVU管Φ75mmを使いました。
5 タンクへの接続
<水の供給側の接続>
逆止弁(付属品)を取り付けておき、そこに管を接続します。
逆止弁は必ずつけるようにして下さい。水が止まった時、タンクから水が逆流しボイラーなどの機器が傷まないようにするためです。
<温水側の接続>
一番左がお湯の出口です。
配管用の穴が開いているだけなので、ニップルを使って管を接続できるようにします。
また、マグネシウムロッズ(浄化用)と温度計設置用の孔がありますので、必要なければドレンボルトで塞ぎます。
続いて、タンク上部には圧力弁と負圧弁の孔がありますので、それぞれ設置します。(付属品)
※タンクがへこんでいるように見えますが、木の影のようで実際はキズや凹みはありません。
圧力弁とは、お湯の温度上昇によりタンク内の圧力が上がった場合に圧力を逃がす装置。
負圧弁は、急激に冷えた場合にタンクが内側に凹むことを防止する装置です。
6 本管分岐とミキシング弁周りの施工
先に少し触れましたが、本管分岐は考え方さえ理解できればさほど難しくありません。
しかし、慣れないことは不安もありますから、給水側の分岐のバルブ設置はプロにお願いしておくほうが安全と思います。
いくらもお金はかかりませんからね。
こうしておけば、仕切弁で切り替えるだけで水を止めず、DIYでいつでも施工が可能になります。
太陽熱温水器は、晴天だと30~40℃程度上昇するような設計になっているようです。(経験値から)
水温(水道水)が10℃であれば最高でも50℃ですが、真夏の水温は25℃くらいになりますから75℃にもなってしまいます。
また、留守にしたりしてお湯を数日間使わないでいるとかなりの温度になる可能性があります。
なので、これを無難な温度にして給湯器に送る装置がミキシング弁です。
ミキシング弁は、電気も何も使わず水圧のみで温度調整ができます。
左からお湯、右から水が来てミキシング弁で温度調節され、下方に流れます。
一般的には38℃が標準のようですが、お好みの温度に設定が可能です。
写真は中国製で、私も使っておりますが特に問題ありません。
※温度調整は38℃がデフォルトですが、必要に応じて調整します。
7 真空管の取り付け
ここから真空管の取り付けに入りますが、給水側のバルブ(緑)を閉めて、太陽熱温水器に水を送り漏水が無いかチェックします。
またエア抜きをしないと水がスムーズに流れませんので、以下の要領でエアを抜くようにします。
まともに蛇口を開けるとかなり大きな音が出るので、配管途中のユニオン(プラグ)を少し緩めてエア抜きをした方がよいでしょう。
写真では被覆をした状態ですが、実際には漏水が無いことを確認してから被覆作業に入ります。
8 試運転
ここまで作業を終えた時点で真空管を取り付けます。
なぜか?
これを最初にやってしまうと、タンク内に水が無いために空焚きになってしまうからです。
※真空管採熱器の威力は半端ないですから注意してください。
なお、短時間で猛烈な温度になりますから、ヒートパイプの先端を軽く触って確認してください。(火傷に注意)
なので、順序は絶対に間違わないでください。
必ず、全ての配管が終わり、水が入ってから真空管を挿入してください。
作業手順は、一方から順次差し込んでいきます。
写真は完了後ですが、以下に説明します。
なお、ヒートパイプの差込は、先端に付属のグリスを塗るとスムーズです。
真空管の下側の固定、真空管先端を固定リングに通してからタンクにヒートパイプ先端を挿入します。
固定リングを先に取り付けておくと良いでしょう。
最後にキャップをねじ込めばOKです。
なお、少し緩い感じがしても脱落しなければ採熱には関係がないので、あまりきつくキャップを締め付ける必要はありません。
注意したいのは、真空管の先端を何かにぶつけると割れて真空が抜けてしまうこと。
必ず2人でやるようにしてください。
9 被覆
漏水が無いことを確認したら、配管を保温材で巻きます。
被覆目的は、保温と紫外線対策です。
特に保温はできるだけしっかりやりましょう。
そうしないと、せっかく太陽熱温水器で暖めたお湯が途中で逃げてしまうからです。
太陽熱利用の真髄は保温にあり!
私は寒冷地ではなくとも、保温材(ポリエチレン)は最低2cmの厚みは必要と思っています。
実際には2cmの製品がありませんので1cmのものを2枚重ねとします。
せっかく集めた熱がどんどん逃げてしまったのでは話にもなりませんからね。
あと、紫外線対策には防食テープを使いました。
紫外線は非常に強力で、保温材に付いているものやキャンバステープでは数年も持ちません。
防食テープは経年変化で固くはなりますが、厚みもあるので10年くらいは持つと思われます。
いずれにしても、定期的に巻きなおしましょう。
10 完成
これで無事完成です。
まとめ
現代社会は、化石燃料の大量消費で成り立っていると言っても過言ではありません。
国民にたくさん燃料を消費してもらわないと実体経済がうまく回らないわけです。
でも、考えてみてください。
それほど大量に燃料を消費することが良いのかどうか。
そして、ここ20年以上デフレが続き、多くの労働者の収入(可処分所得)は減り続けています。
石油資源は無限ではありませんし、国際情勢でも大きく価格が変動します。
そうなると、私たちの生活にとって大きな負担になることは間違いの無いところです。
そこで私たちがやれることは、もっと太陽熱を使うこと。
太陽の光は、誰にも平等でタダで利用することができ、足りない分だけをガスや灯油あるいは電気で賄うことにすれば生活が楽になります。
自然に優しく、家計にも負担をかけない真空管式太陽熱温水器を設置してみてください。
価格は、分離分割型の太陽熱温水器と同等か少し高いくらいですが、太陽熱利用の理想に一歩近づいたものと考えればかなり安いと思います。
いずれにせよ、好不況にかかわらず太陽熱は最大限利用するのがこれからの時代に必要なことではないでしょうか。
興味を持っていただけたら幸いです。