現在では、野菜を作るのに種を買って栽培するのが一般的ですが、私の子供のころ(60年以上前)は野菜どころか稲の種籾も自前でした。
時代は遷り変り、野菜の種は伝統的な固定種から交配種がほとんどになっています。
このようになった理由はいくつかあると思いますが、交配種は形の揃ったものができるからだと思います。
例えば、大根なら太さも長さもバラバラだったら箱詰めはとても大変ですが、揃っていれば非常に楽なわけです。
一方、固定種は味では負けないものの、バラつきが大きかった。
農産物の輸送・合理化を考えればやむを得ない点もあったのだと思いますが、家庭菜園なら優先すべきは味であり規格ではありません。
となれば、家庭菜園をやるものにとっては固定種の種を買って自家採種していくことが、安上がりで楽しめることになるわけです。
また、自家採種を繰り返していくと、種がその土地に適応して病気にも強く安定した収穫ができるとはよく言われることです。
でも、自家採種は難しそうだし、とっつきにくいなと思うかも知れません。
私も最初はそう思いましたが、やってみると意外に簡単なものがありました。
ソラマメやサヤエンドウ・インゲン・オクラなどは簡単に自家採種できてしまうのです。
他にもありますが、とりあえずうまく行ったものを以下報告します。
ソラマメ
ソラマメは粒が大きいので、種を買うとなると結構な値段がします。
なので2年目以降は自家採種したものを使っていますが、何の問題もなく3年目に入りました。
品種は、河内一寸蚕豆。
確か一袋に7粒(314円)入っていたと思いますが、一粒45円程度かかるわけですから、たくさん作るとなるとかなりお金がかかってしまいます。
ソラマメは鞘が大きい割には、通常2粒しか入っていません。
ま、ソラマメを腹いっぱい食べる人はあまりいないと思いますが、自分で作っていれば大量でもお金は気になりません。
写真はお皿一つですが、これだけの量は鞘だとボウルに山盛りになるでしょう。
今年もかなり出来が良さそうです。
今のところ、発芽しなかったり成長がバラつくものがありますが、これも次第に揃ってくるのではないかと期待しています。
それから、ソラマメはアブラムシが大量につくことで有名ですが、昨年は確かにたくさん来ていました。
今年はどうでしょうか。
来なくなると良いのですが・・・
サヤエンドウ
次にサヤエンドウです。
これも昨年は大豊作過ぎて、近所の方におすそ分けしたくらい凄かったし、長期間収穫できました。
無肥料なのにこの生りっぷりは、まさに垂直仕立て栽培のおかげです。
今年は昨年よりもさらに成長が良く、花ももうたくさん咲いていますから収穫が早まりそうです。
これはスナックエンドウの実で、種取り用に残しておいたものです。
この種を使って栽培しているのが下の写真になります。
こちらも問題なさそうですね。
つるありインゲン
これはまだ蒔いていませんが、インゲンも自家採種3シーズン目になります。
病気は全くでないし、肥料も耕起もしていません。
しかも、こんな斜面でも普通にできてしまうのです。
驚異としか言いようがありませんし、斜面でも十分に作物ができることの証明でもありますね。
昨年の鞘。
本当にきれいな鞘です。
種も買ったものと変わりません。
八丈オクラ
オクラは夏野菜・元気野菜として重宝します。
買ってきたものは皮が固く、あまり美味しくありませんが、八丈オクラは大きくなっても柔らかくて美味しいです。
背丈は2.5m以上になりますので、最後の頃は獲るのが大変でした。
繰り返しますが、無肥料です!
なお、種を採るには10月ごろまで放置しなければなりませんが、大きな鞘が3本あれば十分な種の量が確保できます。
まとめ
正直言って、垂直仕立て栽培を始める前と後では、栽培技術が数段違うことを実感しています。
いや、ただ縛っているだけで他は何もしていないので、技術力が上がったとは言えないのかも知れません。
ですが、肥料を気にしなくて済む分、排水対策や土壌改良などに力を入れることができますから、いつの間にか、野菜が求めていることをやっているような気がしています。
種を蒔けば芽が出る。
当たり前のようですが、実はそうではなく、芽が出る環境だったからこそなわけです。
生長が遅い、実がならなかった。
そんなことも肥料以外で考えれば良いのですから、答えは自ずと見えてきます。
ただし、それは1年単位でやっていくことなのですぐには分かりませんが、おおよそ検討はつきますからそこを改善していきます。
と、こんな風に考えてやっていると、いつの間にか失敗が無くなっていることに気が付きます。