燃料費の高騰で、これから太陽熱温水器やソーラーエアーヒーターを使いたいと思っている方も多いと思います。
ですが、元が取れる取れないで悩んでみたり、具体的に何から始めたら良いのか分からない。
実際に、人に勧められて太陽熱温水器を取り付けてみたが思ったほどではなかった。
そんな声も聞こえてきます。
しかし、太陽から地球には凄いエネルギーが届いていて、きちんと設置すれば満足のいく効果が必ず得られます。
ただ、太陽熱利用する上で大切なことがいくつかあります。
なので、太陽熱を利用する上で大切なことをお伝えしておきたいと思います。
(目次)
1.太陽が十分に当たるか
2.採熱器は何を選ぶ
3.熱を逃がさない
4.メンテナンスフリーではない
5.まとめ
1.太陽が十分に当たるか
まず、一番基本的なことですが、太陽がきちんと当たる場所に設置できるかと言うことです。
なんだ、そんなの当たり前じゃん!
と思われるかも知れませんが、これは意外に盲点なのです。
太陽がしっかり当たると思っていても
1)太陽の位置が低い冬期間、隣家や樹木の陰にならないか
2)当たるとしても、何時から何時までなのか
3)太陽光の強い10時から午後の2時ごろに遮るものはないか
4)照度計を使って数値で確認
よほど日当たりの良い家ならともかく、一日中太陽が当たる場所を見つけることは案外難しいものです。
なので、一般的には屋根の上ならとなるわけです。
私の経験では、割と太陽が当たっていると思うのにお湯の温度が上がらないことがありました。
前の家の二階が高く、太陽を遮ることが原因でしたが、壁などが白い場合に光が反射して明るく見えることもあるようです。
このような時は、照度計を使って、どれくらいの太陽光が来ているか数値で確認すべきでしょう。
なお、以下の表は照度の目安をネットで見つけたものです。
当然、季節ごとに違いますが、太陽の高度の一番低い12月に計っておけば間違いなさそうです。
ちなみに、私は300,000ルルックスまで測れるものを買いました。
太陽熱温水器の採熱器は向きを変えられませんから、正面以外はそれよりも何割か減ることになります。
測定は、9時から15時まで1時間ごとに確認します。
2.採熱器は何を選ぶ
太陽が確実に当たることが確認出来たら、次に採熱器の選び方です。
太陽熱温水器には、大きく分けてタンク一体型と分離分割型があります。
タンク一体型
タンクと採熱器が一体になっているタイプです。熱源とタンクが近く採熱効率が良い反面、常に風雨に晒されるためタンクが傷みやすい。また、重いために屋根へ設置は容易ではありません。廃棄する時も大変なので、地上設置がお薦めです。
分離分割型
採熱器と貯湯タンクが分離しているタイプです。そのため、設置の自由度が高い利点があります。熱交換システムがマイコンで制御されるため、タンクの仕様を含め高級タイプとなります。
地上設置、あるいは1階程度の低い屋根に載せられる条件ならタンク一体型をお薦めします。
それ以外は分離分割型を選びましょう。
これはメンテナンスを考えてのことですが、2階の屋根だと簡単に登ることもできませんし危険です。また、設置費用も安くはありません。
価格は少し高くても、貯湯タンクが地上にあり、採熱器が軽く自由に設置できるメリットは大きいです。
ちなみに、私は分離分割型(ベランダ型)を使っています。
3.熱を逃がさない
さて、太陽熱温水器のタイプは決まりましたでしょうか。
ここからは、得られた熱を逃がさない工夫をしなければなりません。
真空管採熱器は、平板型に較べて採熱力は非常に高いですが、それはタンク内の水を温めるまでです。(タンク一体型の場合)
問題は、タンクのお湯の出口から給湯器(ボイラー)までの間で熱を逃がしてしまうことです。
きちんと配管の保温をしないと、どんどん熱が逃げて、給湯器にたどり着くころには温度が下がってしまいます。
これを防ぐためにはどうするか。
一般的には1cm厚の保温材を使うケースが多いようですが、私は更にその上に1cmの保温材を巻くようにしています。
春から秋までは1cmの保温材で良くても、冬はかなり熱が逃げます。
太陽から得た熱を逃がさない!
ここが太陽熱利用の最も重要なところなのですが、あまり理解されていません。
13Aの管に2cmの保温材を巻くと、かなり太くはなってしまいますが、少しのお金を惜しんで太陽熱を逃がしてはもったいないですよ。
あと、金属の部分(ミキシング弁など)は熱が逃げやすいので注意しましょう。
これは、ほとんどの人(業者を含めて)がやっていません。
温い(ぬるい)お湯しか来ない、と嘆く前に対応しておきましょう。
4.メンテナンスフリーではない
そして、太陽熱温水器を設置して終わりではありません。
水を使っている機器なので、漏水や錆び・凍結などメンテナンスは常に必要と思ってください。
最近の電気製品はほとんど故障しませんので、それが当たり前だと思っている方も多いと思いますが、太陽熱温水器は一年中風雨に晒されており、中には水が通っているわけです。
紫外線やら砂塵などでタンクが傷んだり、錆びたりすることも当然あります。
地域によっても大きく違いますが、大なり小なり錆は出てきます。
ましてや、安い中国製に日本製のようなクオリティを求めるのは野暮と言うものです。
最近は、タンクの外装にステンレスが多くなりましたが、錆びないと言うことではなく、錆びにくいと考えてください。
いずれにせよ、錆が発生したら広がる前に錆止めの処置をしましょう。
※錆止めの処置をし、塗装した事例
それから、配管からの漏水なども定期的にチェックしましょう。
水を扱っているのですから、何らかの拍子に水漏れなんてことは普通にあります。
それから、保温材を巻いているキャンバステープもそれほど長持ちしません。
気がついたら補修をしておきましょう。
きちんとメンテナンスすれば長く使えるはずです。
5.まとめ
太陽熱とは何でしょう。
簡単に言うなら、誰にでもタダで使える自然エネルギーです。
その大きさは、地上に単位当たり1W、1㎡なら1000W(1KW)。
太陽熱温水器の採熱器は、200リットルだと約4㎡ですから4KWの熱量を受けることになります。
この全てを太陽熱温水器が取得できるわけではありませんが、最大で60%の変換効率と言われます。
これほど利用しやすい太陽熱がなぜ普及しないのか、私には分かりません。
燃料価格が多少高騰したくらいでは、皆さんの考え方は変わらないでしょう。
でも、それでいいんです。
気づいた人から始めましょう。