このところ急に暖かくなって散歩するのも楽になりました。
コースはほぼ決まっていて、蛇尾川河畔公園の駐車場に車を置いて、その周辺を歩いていますが、昨年の12月あたりから川に隣接する田んぼの圃場整備(田んぼの区画整理)が始まりました。
いやぁ~、懐かしい。
工事は遅延?
私は10年前までこの仕事をやっていたのですが、もうやるところはないと思っていたので意外でした。
工期は3月10日まで。
写真を撮ったのは3月8日、これでは遅延工事間違いない状況ですが、相変わらず工期をを守らない人たちです。(苦笑)
私は工程管理を厳しくしていたので、遅延したことはありませんでしたが、圃場整備は天候にされやすい工事なので難しいことはたしかです。
でも、この程度の規模なら工期を守って欲しかったですね。
ブドードーザーでの整理も久しぶりに見ました。
基準では、圃場の凹凸を±3.5cm以内に収めなければればならないので、昔はオペレーターの名人芸と言われました。
でも、今では測量技術の発達で少しの訓練でそれなりの整地ができるようです。
また、耕土(作土)が薄いため客土もしていますが、どこから土を持ってきているのでしょうか。
※砂利拾いをした袋がみえますが、最終的には凄い数の袋となるはずです。
さて、今どき圃場整備をやって大丈夫なのか、と思われる向きもあろうかと思います。
たしかに米価が低迷している中での圃場整備は、農家にとってメリットがあるのか疑問も残りますが、目的は生産性の向上だけではありません。
農業者の高齢化が深刻な現在、農地の集約とか担い手への委託などが容易になりますからやっておかなければ耕作放棄になってしまう可能性が高くなります。
私が計画してきた地域での説明は、土地の権利が確定されることが一番のメリットと強調してきました。
ほとんどの人は知らない世界でしょうが、土地は所有権が明確なものばかりではありません。
また、道路や水路などの国有地が間にあって、何かの原因で処分しようにもできないばかりか、できても安く買いたたかれることもあります。
もちろん、再開発などは難しいでしょう。
しかし、このようにきちんと区画整理して所有権を確定しておけば、資産価値も上がります。
市街地の区画整理事業と同じと考えれば納得がいくはずです。
また、補助金も95%以上は出ているはずなので、持ち出しはほとんどないといってもいいでしょう。
余談ですが、中には欲深な人がいて、全部補助金でやれなどと言う人がいました。
私は、そのような方には100%行政でやると個人の権利もなくなりますよ、と脅しておきました。
人間の欲は切りがありませんね。
野火焼でも燃えない工法
私事ですが、42年間の勤務のうち最初は農道事業などもやったのですが、圃場整備をやり始めたら面白くて志願してずっと最後までやってました。
※業務は、測量・設計積算から現場監督、そして地元交渉などを全て担当者が行います。
難しくて大変な仕事なのですが、結果が良ければ地元の皆さんから誉めてもらえるのがなにより嬉しかったのです。
30歳を過ぎたころだったでしょうか。
役所ではいくら良い仕事をしたとしても、高卒の学歴ではほとんど評価されないことを悟ったときに圃場整備一筋と決めました。
でも、長く担当した分、かなりの数のアイディアを職場に置いてくることができたと思っています。
その一つがこれです。
田んぼの水を排水する仕組みですが、管を地中に埋めているのが特徴です。
一般的には、土手から大砲のように塩ビ管を突き出すように施工しますが、それだと春先の野火焼で燃えてしまう可能性があります。
30年ほど前に提案したものですが、景観も良いので地元改良区から大いに評価をいただきました。
ところが、残念なことに仲間内では誰一人として追随する人がいなかったのです。
でも、後輩がやってくれて安心しました。
退職して既に10年、きつい仕事でしたが懐かしい思い出となりました。