自然由来の「石鹸」の方が合成系よりも洗浄力が高いことは知られているところですが、コロナに対しても「合成系の1000倍のウイルス破壊力」があるとの記事です。

少し長いので要点をまとめます。

1.石けんも洗剤も主成分は界面活性剤。これは水では落ちない脂汚れを除去する働きを持つ。

2.洗剤の界面活性剤は布に染み込んだ脂汚れを引き剥がす。ウイルスの外殻も脂なので同じようにその脂を引き剥がすことで、ウイルスが死ぬ。

3.濃度による効果に差はあるが、合成系ハンドソープもインフルエンザウイルスを壊すことに変わりはない。合成系と比べて自然系のほうが、壊し方がダントツに大きい。

4.自然素材無添加石けんの界面活性剤は、ウイルスのエンベロープを壊すだけでなく、まったく別の凄まじい攻撃力でウイルスの武器を引き抜く。

5.合成系のハンドソープを止め、自然素材無添加石けん(手洗いせっけんバブルガード)を使いはじめたところ、手荒れは約5割に減少した。「自然素材無添加石けん」は合成系ハンドソープより肌にやさしいことが立証された。

以上、こんな内容ですが詳しくは記事をお読みください。

後々の参考のため、リンク切れを考え全文を貼っておきます。

コロナにも? 自然素材石けんは合成洗剤の「1000倍のウイルス破壊力」 天然由来成分に驚きの効果を発見

新型コロナウイルス感染症から命を守る予防策として「石けん」による手洗いが推奨されているが、「石けんのウイルス破壊」には未解明の謎があった。

そこで、長年にわたりウイルス不活性化の解明に取り組んできたのが、広島大学大学院、北九州市立大学、シャボン玉石けん(北九州市)の研究者チームだ。そして2019年、大きな研究成果が発表された。

石けんの「洗浄力」は主成分の界面活性剤によるが、インフルエンザウイルスによる実験で、ハンドソープ製品の大半の主成分である合成系界面活性剤と比べ、自然素材無添加石けんの界面活性剤のインフルエンザウイルス破壊能力が、100~1000倍も大きいことが明らかになった。そして、その攻撃力の差がウイルスに対する石けんの作用の常識を覆す事実がわかったというのだ。

前回に続き研究チームに取材した第2弾をお届けする。

界面活性剤が「効く」わかりやすい理由

石けんによる手洗い啓蒙の情報が増大している。

試みにGoogleで「corona virus hand soap」で検索したところ、1億5900万件がヒットした。「ニュース」では240万件、「動画」だけでも543万件にのぼる(いずれも2020年4月27日)。

Googleのことだから重複もあるだろうが、それでも1億5900万件には驚く。

ヒットしたウェブのいくつかを見たが、石けんの化学的な効果とはどのようなものか、石けんによる手洗いがなぜウイルスを除去、破壊するのかについて、わかりやすく説明しているものも多かった。

石けんはきわめてありふれた製品で日々使っているにもかかわらず、そのメカニズムを知る人は少ないからだろう。

石けんも洗剤も主成分は界面活性剤だ。これは水では落ちない脂汚れを除去する働きを持つ。

一方、インフルエンザウイルスもコロナウイルスも粒子の表面(エンベロープ=外殻)は、脂質二重膜で覆われている。つまり、これらのウイルスは1ミリの1万分の1という極微小の「脂くるみの玉」なのだ。

洗剤の界面活性剤は布に染み込んだ脂汚れを引き剥がすが、ウイルスの外殻も脂なので同じようにその脂を引き剥がす。これが、ウイルスがお陀仏となる理屈だ。

新型コロナウイルス感染症の拡大で、世界各国(アメリカが主だが)で、この人類の敵を知るための、精緻でわかりやすい動画が多く作られ公開されている。

この事態を乗り越えていくために最も大事なことは、不安に煽られることなく正しい科学知識を身につけることだからだ。石けんの動画も膨大に増えているゆえんだ。

このことを実感したのが、英語の動画「Fighting Coronavirus with Soap」(日本語字幕:石鹸でコロナウイルスと戦う)だった。米国の蛋白質構造データバンク(日本支所は大阪大学蛋白質研究所にある)が製作したもので数ヵ国語の字幕版が公開されている。

米国の蛋白質構造データバンクが製作した動画「Fighting Coronavirus with Soap」の一部

わずか2分の動画だが、無数のイモムシのような多数の界面活性剤の分子がウイルスの外殻の脂質二重膜に引き寄せられ、ピラニアの群れが獲物に食いつくようにウイルスの脂質周囲に集まってミセル(高分子の集合体)を作り、脂質を引き剥がすさまを描いている。

「棘」を引き抜く

この動画が描いている「石けん」の働きは、これまで「石けん=界面活性剤の常識」である脂肪を剥がす作用を、ウイルスの外殻(脂質層)に当てはめたものと思われる。

ところが、昔ながらの自然素材無添加石けんに含まれる界面活性剤は、インフルエンザウイルスの実験では、「石けん=界面活性剤の抗ウイルス作用の常識」を覆す働きをしていたのである。

2009年の新型インフルエンザの流行時に作成したインフルエンザウイルスの模型。コロナウイルスと同じ棘(スパイク)のあるエンベロープ(外殻)をもつウイルスだが、タンパクの種類など若干の違いはある 拡大画像表示

1mmの1万分の1という超微粒子の新型コロナウイルスに世界は翻弄されている 模型製作と写真:山根一眞

広島大学大学院医系科学研究科(ウイルス学)教授、坂口剛正さん、北九州市立大学国際環境工学部教授の秋葉勇さん、そしてシャボン玉石けん研究開発部長の川原貴佳さんを中心とするチームは、自然素材無添加石けんの界面活性剤の抗ウイルス作用が、広く販売されている合成系ハンドソープの界面活性剤と比べ100~1000倍も大きいことを明らかにした。

そこで、そのメカニズムの解明に取り組んだのである。

広島大学の坂口剛正さんはこう語っている。

広島大学大学院医系科学研究科(ウイルス学)教授、坂口剛正さん(写真:山根事務所)

坂口 ウイルスの外殻、エンベロープは脂質二重膜なので、当然、石けんで溶けます。

電子顕微鏡で見たところ、濃度が高い合成系界面活性剤ではウイルスはもとの形がわからないほどバラバラになっていました。これは、従来の知見通りです。

一方、自然素材無添加石けんの界面活性剤は、濃度が低くてもウイルスに穴をあけていました。それは、界面活性剤がウイルスの棘の部分、スパイクタンパクにとりつき、スパイクを引き抜いていることがうかがえました。驚くべき機能です。

石けんによるウイルス掃討のイメージ 写真:山根一眞

断っておきたいが、濃度による効果に差はあるものの、合成系ハンドソープもインフルエンザウイルスを壊すことに変わりはない。だが、合成系と比べて自然系のほうが、壊し方がダントツに大きいのだ。

ノーベル賞候補からの教えを生かして

坂口 その壊し方の違いの解明に取り組んでくれたのが、共同研究者である北九州市立大学の秋葉勇さんとシャボン玉石けんの川原貴佳さんでした。

秋葉さんは高分子材料化学、界面活性剤に取り組んできた研究者で、北九州市立大学副学長でもあった國武豊喜さんの薫陶を受けてきた1人だ。

その師、國武豊喜さん(現・九州大学特別主幹教授)は、世界で初めて脂質二重膜の合成に成功。それは、人工的に細胞を作ることにつがなる偉業だった。

私も長年にわたり國武さんとは懇意にさせていただいてきた。

1997年には、國武さんと対談し「不可能とされた人工細胞膜を洗髪リンスで実現」という記事を書いているが(『文庫版 メタルカラーの時代8 役者揃いの北九州メタル都市』小学館に収載)、國武さんはその業績により毎年、必ずノーベル賞候補として名があがっている。

北九州市は石けんという界面活性剤製品のメーカー、シャボン玉石けんが立地していると同時に、界面活性剤の科学では世界のトップ水準の地なのである。

では、チームは界面活性剤とウイルスの相互作用をどう解きほぐしたのか。

坂口 秋葉さんらは、自然素材無添加石けんの界面活性剤、「オレイン酸カリウム(C18:1)」は、ウイルスと「静電的相互作用」していると結論づけています。

インフルエンザウイルスは、表面に突き出ている棘(スパイク)が正常細胞(肺胞細胞や気管支の細胞)に取りついて侵入(感染)します。そのスパイクは、ヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という2種のタンパクで構成されています。

これまでの研究で、インフルエンザウイルスの表面のHAタンパクは、プラスの電荷をもった部分があることがわかっていました。一方、オレイン酸カリウム(C18:1)の親水基はマイナスの電荷を持っています。

そのため、そのマイナスがウイルスのHAのプラスに引き寄せられ取りついているのでは、と、考えたんです。

洗濯と同じことが起こり、さらに…

整理するとこうなる。

界面活性剤の細長い分子は、頭の部分が「親水基」、長い尾の部分が「疎水基」という2つのパートからなる。

「親水基」は水になじみやすく、「疎水基」は水をはじき油にとりつく。

脂がしみついた布を水に浸し界面活性剤(洗剤)を加えると、たくさんの界面活性剤の分子は、尾の「疎水基」部分が吸い付けられるように汚れである脂を取り囲み「ミセル」(分子の塊)を作る。

一方、界面活性剤の分子の頭は「親水基」なので、脂をはじき、水に強く引き寄せられる。

こうして脂を取り囲んだ「ミセル」は布から引き剥がされて水の中へと拡散する。
これが、脂汚れが洗剤できれいになる洗濯の原理だ。

ウイルスの表面でも洗濯と同じことが起こっている。先に紹介した動画、「Fighting Coronavirus with Soap」(石鹸でコロナウイルスと戦う)は、その説明だった。

だが、広島大学と北九州市のチームは、ウイルスに対しては洗濯とは異なる反応も起こっていることを見出した。

秋葉さんらは、界面活性剤がウイルスの細胞攻撃の武器である「棘(スパイク)」を構成するHAとNAという2種のタンパクをどう攻撃するのかを探った。

[C18:1]は親水基がウイルスのHAに静電的相互作用によってとりつき、スパイクを引き抜くが、[LES]は疎水基がエンベロープに化学反応でとりつく。ウイルスに対する攻撃力は[C18:1]がはるかに大きい 拡大画像表示

だが、そんなことを知る方法があるのだろうか。

坂口 これまでの研究で、界面活性剤の「親水基」は電気的な相互作用を起こすと「発熱」し、「疎水基」は脂と反応すると「吸熱」することがわかっていました。

頭が働くと熱くなり、尾が働けば冷える。

つまり、ウイルスに界面活性剤を加えて温度を測定し「発熱」していれば「親水基」が働いている。「吸熱」していれば「疎水基」が活発だとわかるわけです。

その熱はきわめて微小ですが、等温滴定型熱量測定器(ITC)で測定できます。

その測定結果は驚くべきもので、界面活性剤のウイルス不活性化メカニズムの新発見でした。

「まったく別の凄まじい攻撃力」

秋葉さんの研究結果を整理するとこうなる。

1)広く普及しているハンドソープの合成系界面活性剤(ラウレス硫酸ナトリウム、LES)では、尾の「疎水基」がウイルスの表面(脂質二重膜)にとりつくので、「吸熱反応を」起こしている。これは従来の常識を裏付ける。

2)自然素材無添加石けんの界面活性剤(オレイン酸カリウム、C18:1)もウイルスのエンベロープ(外殻)に取りつくが、「発熱反応」は合成系界面活性剤では見られない別の反応をうかがわせた。

3)それは何を意味しているのか……。
自然素材石けんの界面活性剤はスパイクタンパクの一つ、HAに取りついていた。

4)HAにとりつくのは、「疎水基」と「親水基」という化学的な反応ではなく、それよりもはるかに大きな力が働く電気的な相互作用(静電的相互作用)で説明できる。

5)それは、前回紹介した自然素材無添加石けんの界面活性剤のウイルス不活性化(破壊力)が、一般のハンドソープの合成系界面活性剤と比べて100~1000倍も大きいという実験結果を裏付ける。

ヒトインフルエンザウイルスと界面活性剤の相互作用 拡大画像表示

秋葉さんと共同研究したシャボン玉石けんの川原貴佳さんはこう語っていた。

川原 自然素材無添加石けんに含まれる界面活性剤が、「親水基と疎水基」の原理でウイルスのエンベロープを壊すだけでなく、まったく別の凄まじい攻撃力でウイルスの武器を引き抜くのだという研究成果には勇気づけられました。

シャボン玉石けん研究開発部長、川原貴佳さん

川原 もちろんこの研究は新型コロナウイルスではなくインフルエンザウイルスに関してのことなので、新型コロナウイルスでも同じかどうかの確認研究は急がねばなりませんが、坂口先生もおっしゃっているように、新型コロナウイルスでも同じ効果が期待できると考えています。

手が荒れやすい人はどうすればいい?

ところで、新型コロナウイルスの感染を防ぐためには頻繁な手洗いが必須だが、とりわけ医療従事者はその回数が多くなっているはずだ。

界面活性剤はウイルスや病原菌を洗い流してくれるが、一方で洗う回数が増えれば手荒れが避けられない。

手荒れは界面活性剤がもつ「細胞傷害性」による。

界面活性剤は脂にとりつき剥ぎ取る機能が大きいが、手洗いでは皮膚の表面にある脂肪も取り去ってしまうため、頻繁な手洗いを続けると皮膚がガサガサになる手荒れが起こってしまう。新型コロナウイルス感染症に直面する医療従事者にとって、これは大きな悩みに違いない。

では、医療現場ではどれくらいの頻度で手洗いをし、どれくらいの手荒れが出ているのだろう。

その調査研究が3年前の2017年に行われていた。

それは、北九州市の小倉記念病院感染管理部、NPO法人・北九州地域感染制御ティーム、産業医科大学病院感染症制御部、シャボン玉石けん、そしてシャボン玉石けん感染症対策研究センターが行ったもので、その成果は感染症の医学誌『INFECTION CONTROL』(2017 Vol.26 の12)に、『無添加脂肪酸カリウムを用いた手荒いせっけんの手荒れ予防に関する調査研究』として投稿された。

調査対象者は、急性期病院(3施設)の110名、療養型病院(5施設)の197名、高齢者施設(5施設)の125名で、調査票の回収率は90%以上だった。

この調査研究は、擦式アルコール製剤の使用のみならず流水と石けんによる頻回の手洗いが手荒れの原因であり、また手荒れが感染の温床にもなるという前提のもと、「石けんの工夫が重要だ」として実施した、と投稿論文は記している。

調査でわかった手洗い回数は、おおむね11~20回が4割を占めており、31回以上手洗いを行っている人も13~14%あった。そしておよそ7割の人が「とても手荒れしている」「やや手荒れしている」と回答。

だが、合成系のハンドソープに代わって、自然素材無添加石けん(手洗いせっけんバブルガード)を使いはじめたところ、手荒れは約5割に減少したのだ。「自然素材無添加石けん」は合成系ハンドソープより肌にやさしいことが立証されたのだ。

私の知人である医療関係者も、長年、頻繁な手洗いによる手荒れに悩まされており、ワセリンの塗布が欠かせなかったそうだが、「手洗いせっけんバブルガード」に変えたところ、まったく手荒れが起こらなくなったと話していた。

手荒れ調査のまとめ

新型コロナウイルス感染症の予防のため一般の方も石けんによる手洗い頻度が増えているので、こういう調査研究のあることは覚えておきたい。

5000年目の大発見

マスクの入手難同様、手洗い石けんへの需要も大きくなっており、自然素材無添加石けんである「手洗いせっけんバブルガード」は品薄状態のようだ。今後の供給見通しはどうなのか?

「注文急増で生産は休日返上で拍車をかけているので問題ないんですが、調達している樹脂製ボトルと泡を出すためのポンプがネックなんです。それらの製造工場には注文が殺到しているそうで、我が社への入荷も遅れていることが品薄の原因なんです」(シャボン玉石けん、川原貴佳さん)

自然系の手洗い石けんを使おうにも使えないのでは困る。

川原さんは、シャボン玉石けんの製品にはすべて「手洗いせっけんバブルガード」と同じオレイン酸カリウムや類似成分のオレイン酸ナトリウムが含まれているため、無添加ボディソープ、ベビーソープ、浴用石けん、ビューティーソープなどを手洗いに使っても「バブルガード」と近い効果が得られるという。

そうか、拙宅では入浴用に無添加ボディソープを使っている(ハンドタオルの洗濯に流用することもある)。「手洗い石けん」が底をついたあと、まだ入手難が続いていればこれで代用することにした。

ちなみに、自然素材(天然油脂)のみを原料とし、合成系の添加物を加えていない昔ながらの石けんを製造してきたメーカー(中小企業が主だが)は少なくない。今回の研究成果は、それらのメーカーにとっても朗報に違いない。

人類が石けんを使いはじめて5000年になる。

きわめて身近な人類の必需品の石けんに、5000年目にして思いがけないウイルス攻撃能力が明らかとなった。その研究成果が出た翌年、つまり2020年、人類は新型コロナウイルスの猛攻を受けることになった。

広島と北九州市という関門海峡を挟んだコラボチームは、あたかもこの非常事態を予感し、凶暴なウイルスを攻撃する手の内の一つを得たのかと思わせる研究成果だった。

そもそも合成洗剤と言うのは、第二次世界大戦中に石鹸不足からドイツが開発したものと聞いています。

また、洗浄力については石鹼よりも劣るのは事実のようです。

ま、代用品ですから本物にはかなわないと言うことでしょうか。

それから、戦後の合成洗剤大量使用により日本でも環境汚染が問題となりました。

下水道の普及により最近はあまり話題にならなくなりましたが、それでも昔のような川の水質には戻っていないように思います。

私自身は過敏症であることもありますが、合成洗剤のような汚れ落ちが悪く、臭いがきつくリスクがあるものを高いお金を出してまで買うつもりはありません。

私は入浴用に固形石鹸、台所には液体せっけんを使っています。

泡切れが良いので環境にも良いし、何といっても安全で安いのが一番です。

【アルコール消毒のやり過ぎに注意】何ごとも「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です