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【ヒートパイプとは】太陽熱を先端に集中させるためのシンプルで確かな技術

2019/03/06
 
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nonofho
元農業土木技術者。農地、水路、道路などの測量設計から管理監督まで42年間携わりました。自然環境に興味があり、長年那須連山を写真撮影していました。その中で地球は確実に温暖化へ向かっていることを実感し、環境製品の販売を第二の職業にしています。1952年生まれ、栃木県大田原市在住。趣味は写真、音楽、読書、DIY。

 

こんにちは、とちぎエネットです。

 

今回は、真空管式太陽熱温水器の心臓部である「ヒートパイプ」について解説します。

 

ヒートパイプとは、ガラス真空管に入っている銅管のことです。

従来のタイプでは真空管内に水が入っていたため、ガラスが割れると水が漏れ出してしまう大きな欠点がありました。

 

気がつかないでいると、とんでもない水道料金がかかってしまう恐れもあったわけです。

このため、水を入れない方式で貯湯タンク内の水を効率よく温めるよう開発されました。

 

このシステムの凄さは、電気などをつかった人為的なものが一切無く、全て自然現象によって完結しているところにあります。

従って、ほとんど故障がないのです。

 

偉大な発明は常にシンプルだと聞いたことがありますが、ヒートパイプはまさにその王道を行くような製品ではないかと思います。

 

ヒートパイプの構造

 

真空管採熱器の構造は非常に単純で、三つのパーツから構成されています。

左からヒートパイプ、アルミフィン、真空管です。

 

 

圧力式のヒートパイプ

これらが一体となって太陽光を受け止め、ヒートパイプの先端に熱を集中させる仕組みです。

採熱の仕組み

 

ヒートパイプには、銅管の中に純水に近い液体が封入されており、これが対流して先端に熱を集中させるます。

だれが考案したのか知れませんが、素晴らしい発想ですね。

 

中央のアルミ製のフィン(翼)は効率よく銅管に熱を吸収させる役目になります。

よく真空管が割れると水が漏れないか、心配される方がおられますが心配はいりません。

真空管内には水がなく、タンクの水とヒートパイプは非接触です。

 

このように、採熱部と貯湯タンクが別になっているからこそ水道圧に耐えられるよう設計できるわけです。

 

それではヒートパイプがどれほど熱くなるのか、簡単な動画を撮ってみました。

一分弱なので、どこまで温度が上がるのかは示せませんが、短時間に温度が上昇する様子が分かります。

 

温度計の数値にご注目ください。

一分以内に50℃を超えてしまいます。

このように非常に高い集熱力を持っているので、先端の温度は200℃近くまで上昇します。

 

これまでは、真空管内の水が貯湯タンク内の水と徐々に対流しながら水を温める方法です。

しかし、真空管を使うアイディアは良くても、自然落水型の範疇を超える製品ではありませんでした。

 

ヒートパイプ方式は、この壁を打ち破り、水道圧に耐えられるタンクにすることで給湯ボイラーとの併用が可能となりました。

つまり、お風呂だけでなく、給湯全体で使えるようになった意義は小さくありません。

 

それだけでなく、太陽熱温水器は屋根の上という常識を無くしました。

地上でも日当たりが良ければ全く問題なく設置でき、設置費用やメンテナンスの点で飛躍的な進歩を遂げているのです。

 

高い採熱力を生かすことのできるタイプは

 

では、このヒートパイプ方式が生きるタイプを検討しましょう。

 

まず自然落水型ですが、これにもヒートパイプを使っているものがあります。

しかし、これは先端がタンク内にあるのが問題です。

 

自然落水型の構造

 

熱交換としては効率が良いでしょうが、止水がガスケットだけなのが少し不安です。

そして、ボールタップの不調で空焚きになってしまったりすると、ガスケットが焼付けを起こす可能性があります。

 

そうなると周囲の保温材(ウレタン)が痩せて、真空管内に水が浸入し、ヒートパイプ、アルミフィンが腐食してしまいます。

それほど頻繁に起こることとは思えませんが、実際にあったことなので、できれば避けた方が無難と思われます。

 

 

次に圧力型ではどうでしょうか。

こちらは ヒートパイプの先端はキャップの中に挿入する形になっています。

直接水に触れませんから少し熱交換が遅れるような気がしますが、先端が200度近い温度になることを考えればその影響は殆どないと思われます。

 

圧力型のタンクの構造。

 

利点として、直接給水管に接続できるだけでなく、真空管が割れても漏水しないことや交換が簡単にできることが挙げられます。

これは従来の自然落水型では考えられないことでした。

 

それから、欠点ではないのですが、タンクの構造を水道圧に耐えられるよう堅固にしたことから重量がかなり大きくなりました。

当然ですが、屋根などの高い場所に持上げるのに苦労することになります。

 

さて、分離分割型ではどうでしょうか。

こちらも熱交換の形が若干違いますが、基本的には圧力型と考え方は同じです。

 

ヒートパイプは循環水とも接触しない方式。

 

 

循環水が通過する際に、ヘッダー内で熱交換が行われる仕組みです。

 

水はパイプの左右を迂回する形で熱交換されます。

 

 

ヒートパイプによって熱を受けた循環水は、貯湯タンクで熱交換して戻ってきます。

貯湯タンクは、当然水道圧に耐えられる構造であるため給水パイプに直接接続してありますから、圧力型と同じく何の不便もなく普通に使えるわけです。

 

結論としては、圧力型と分離分割型を選べばまず問題はありません。

 

注意すべき点は

 

毎日使っていれば特に問題はありませんが、週末住宅や別荘などでは機種の選定に注意が必要です。

 

標準的な真空管式太陽熱温水器は、晴天の場合、概ね一日に30~50℃上昇するよう貯湯タンクと真空管の本数が設定されています。

そのため、使わないと2~3日で沸騰してしまいます。

もちろん安全装置はありますが、機器にとって良いことではありません。

 

圧力型ならば、タンク内の圧力が高まった場合には、圧力弁から蒸気を逃がしますから特に問題はありません。

 

圧力型の圧力弁(左)と負圧弁(右)

 

 

また、水道圧がかかっているので随時水が補給されるのでタンク内の水が減ることもありません。

 

ちょっと心配なのは、自然落水型です。

もちろん、こちらもボールタップがあるので水位が下がれば水が補給される仕組みになっています。

 

自然落水型のボールタップ

 

しかし、これが機械的な動作(電磁弁も含めて)なため、経年変化などで動かなくなることも想定しておかなければなりません。

ボールタップとは、水洗トイレのタンク内にあるものと同じです。

もし何らかの原因で動かなかったとすると、いつの間にかタンク内の水は蒸発してしまい、ヒートパイプの先端は焼付けを起こしてしまいます。

 

これも実際にあった話です。

したがって、週末住宅や別荘などでは圧力型を選んだほうが賢明と言えます。

ただ、圧力型でもお湯が沸騰してゴロゴロ音がしたり、蒸気を吹き上げるのは気持ちの良いものではありません。

 

タンクレスのPCM太陽熱温水器があれば一番いいのですが、製造中止ではどうにもなりません。

 

まとめ

 

ヒートパイプは真空管との組み合わせで高い採熱(集熱)力を持っています。

しかし、使い方次第ではトラブルの元にもなりますので、真空管式太陽熱温水器を選ぶ際には特に注意したい点です。

 

これまでの太陽熱温水器は、自然落水型か分離分割型しかありませんでした。

分離分割型は別にして、タンク一体型は高いところ(屋根など)において、落差を利用して使っていたわけです。

しかしそれでは非常に使いづらいし、タンクを屋根に載せるのは大変でした。

 

水道圧に耐えられるタンクであればどこでも置ける。

たとえ地上でも。

圧力型は、たぶんそんな要請から圧力式は生まれたものと思います。

 

問題は、採熱部と貯湯タンクは水道圧に耐えるよう分離することはできるけれどもこれまでの真空管の考え方では無理。

そこで考えられたのがヒートパイプ方式であろうと想像します。

 

もちろん、自然落水型でもヒートパイプを使えないことはありませんが、圧力型や分離分割型で生きるシステムと思います。

 

どうしても自然落水型を使いたいならば、過集熱に強いグラスヒートパイプ真空管と言うのがあります。

こちらは項を改めてご紹介します。

 

(参考)

太陽熱温水器は「分離分割型」を選ぶべき5つの理由

【 特殊技術は不要】誰でもできる真空管式太陽熱温水器の設置(圧力型)

 

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元農業土木技術者。農地、水路、道路などの測量設計から管理監督まで42年間携わりました。自然環境に興味があり、長年那須連山を写真撮影していました。その中で地球は確実に温暖化へ向かっていることを実感し、環境製品の販売を第二の職業にしています。1952年生まれ、栃木県大田原市在住。趣味は写真、音楽、読書、DIY。

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